「法人設立」というと、多くの方は株式会社の設立を思い浮かべると思います。
しかし、法人の種類は営利法人の株式会社だけではありません。
非営利の事業を立ち上げる場合には、非営利の法人を設立するのが適切です。
私は営利法人での起業支援だけなく、非営利法人での起業も支援しています。
代表的な非営利法人には、NPO法人、一般社団法人や一般財団法人があります。
NPO法人は立ち上げに3~4月かかりますし、事業内容に色々制約が多いです。
迅速に非営利法人を立ち上げて、自由に活動したい場合には、一般社団法人や一般財団法人を設立するのが適切です。
では、無事に一般社団法人を設立できたとして、設立後の法人運営はどうすればいいでしょうか?
法人化した以上は、運営についても法令を順守していく必要があります。
例えば、社員総会です。
社員総会の開催方法は法令で決まっています。
社員総会の招集通知の書き方も、記載すべき事項が法令で決まっています。
なんとなく「それっぽい案内状」を出せばいいという問題ではないんですね。
決議の方法も、必要に応じて書面による議決権の行使が認めれられています。
場合によっては決議の省略も認められます。
便利な制度ですが、法令に定めれた必要なプロセスを経る必要があります。
事前に必要事項を理事会で決議しなければいけませんし、事前事後に用意するべき書類も通常とは異なります。
多くの皆さんは「法律」を見れば書き方や手続きが分かるんですよね?
と思っています。
基本的にはそれでいいのですが、実はそれだけでは足りません。
実は、一口に法令といっても、厳密には「法律」よりさらに細かい「命令」というものがあります。
行政書士の試験だと、憲法や行政法で出題されますよね。
例えば、法務省令や内閣府令のことです。
「法律」の条文を読むと、
細かいことは「法務省令」に書いてあるから「法務省令」も合わせてを読んでね
細かいことは「内閣府令」に書いてあるから「内閣府令」も合わせてを読んでね
という内容の法律になっていることがよくあります。
簡単に言うと、「法律」を読むだけでは法律の内容が分からないような法律になっているんですね。
法律以外のルールを参照しないと、法律の内容が理解できないようになっています。
この辺りの事情が、法人設立後の法人運営の難しさの一因となっています。
法人の事務局員が、自分でなんとか調べようと思っても、「法律」を調べるだけでは足りないのです。
法律を読むだけもしんどいのに、さらに細かい内閣府令や法務省令まで読むは大変です。
公益認定を受けようとする法人や既に公益認定を受けた法人であれば、命令まで含めて法令の理解・法令順守が必要になります。
ただ、事務局員が少ない法人様ですと現実的にはこれがなかなか難しいんですね。
事務局の方と話をしていると
「齋藤先生は仕事だから当たり前のことかもしれないけど、こんな細かいことは自分はやりたくないですね~」
等と笑い話になります。
事務局員の方の気持ちは分かりますね。
行政書士でも、一般社団法人の設立や公益認定申請を専門にしていなければ、省令まで読み込んで仕事はしないですからね。
しかし、いつまでも専門家に頼りっきりの法人運営では問題があります。
やはり、事務局員だけでも、ある程度は細かい部分まで理解して自律的に法人運営ができないと不便です。
法律だけなく法務省令・内閣府令も含めて理解して法人運営ができるような体制を作っていく必要があります。
そのような体制作り・事務局員に対する教育も、行政書士の役割です。
行政書士の仕事は、単なる法人設立手続きの代行だけではありません。
設立後の運営・法令順守についてもしっかりサポートしていくことが求められています。
そのためには専門家として日々研鑽ですね。