公益認定専門の行政書士 齋藤史洋「知って得した起業・独立で法人をつくる話」 株式会社,合同会社,NPO,社団設立,財団設立,公益認定

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法人設立の専門家 銀座の行政書士 行政書士齋藤史洋事務所 齋藤史洋です。株式会社,合同会社,LLC,NPO,社団設立,財団設立,公益認定。公益法人移行の実績多数。ご相談は年間100件以上。

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このサイトでは、行政から公表された不認定事例、勧告事例、公益法人関連のニュース等の実例を素材にして、これまでの経験に基づき、法的・実務的な解説を行い、新規に公益認定を目指す団体に向けて役立つノウハウなどを更新しています。

 

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公益認定の専門家
銀座の行政書士 齋藤史洋です。


いつもありがとうございます。

文部科学省による組織的な「天下り」問題が大きなニュースになっています。

この問題の中でも、世間の関心は、特に「一般社団法人文教フォーラム」(嶋貫和男氏が代表)の方に集まっているように感じます。

しかし、私自身は公益法人を専門とする実務家なので、天下りそのものよりも、「公益財団法人文教協会」の運営の在り方が、そもそも「公益認定基準に違反ではないのか?」という点が気になりました。

「天下りは許せない!」という感情的な憤りは別にして、冷静に、公益法人としての法令違反は無いのか、それが気になりました。

世間のニュースを見ても、公益認定法違反を指摘する記事などを見ないからです。

また、公益財団法人文教協会を所管する内閣府(公益認定等委員会)も、沈黙しているからです。

本来であれば、内閣府の監督責任なども問われてもよさそうなものです。

内閣府による定期の立入検査だって、既に行われているはずですから。

誤解している方もいるかもしれませんが、公益財団法人文教協会を所管しているのは、文部科学省ではなく、内閣府です。

平成29年2月7日現在でも、公益法人インフォメーションにおいて、内閣府からは何も情報が出ていません。
 

●家賃300万円の肩代わりは「特別の利益供与」か?



公益財団法人文教協会が、一般社団法人文教フォーラムの家賃300万円を肩代わりしたという事実が各種の報道で伝えられています。例えば

公益財団「文教協会」が調整役OB事務所の家賃300万円負担「助言をもらっていた」

http://www.sankei.com/life/news/170128/lif1701280022-n1.html


この家賃の肩代わりが、「特別の利益供与」に該当するのではないのか?

これがすぐに気になりました。

公益認定法においては、いわゆる「特別の利益供与の禁止」の規制があります。

もう少し具体的に言えば、法人の関係者や営利事業者等に特別の利益を与えないことが公益認定の基準として設けられています(公益法人認定法第5条第3号、第4号)。


公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律

(公益認定の基準)
第五条  行政庁は、前条の認定(以下「公益認定」という。)の申請をした一般社団法人又は一般財団法人が次に掲げる基準に適合すると認めるときは、当該法人について公益認定をするものとする。
(略)
三 その事業を行うに当たり、社員、評議員、理事、監事、使用人その他の政令で定める当該法人の関係者に対し特別の利益を与えないものであること。

四 その事業を行うに当たり、株式会社その他の営利事業を営む者又は特定の個人若しくは団体の利益を図る活動を行うものとして政令で定める者に対し、寄附その他の特別の利益を与える行為を行わないものであること。ただし、公益法人に対し、当該公益法人が行う公益目的事業のために寄附その他の特別の利益を与える行為を行う場合は、この限りでない。



公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律施行令を見ると、

(特別の利益を与えてはならない法人の関係者)
第一条  公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律 (以下「法」という。)第五条第三号 の政令で定める法人の関係者は、次に掲げる者とする。
一  当該法人の理事、監事又は使用人
二  当該法人が一般社団法人である場合にあっては、その社員又は基金(一般社団法人及び一般財団法人に関する法律 (平成十八年法律第四十八号。第六条において「一般社団・財団法人法」という。)第百三十一条 に規定する基金をいう。)の拠出者
三  当該法人が一般財団法人である場合にあっては、その設立者又は評議員
四  前三号に掲げる者の配偶者又は三親等内の親族
五  前各号に掲げる者と婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者
六  前二号に掲げる者のほか、第一号から第三号までに掲げる者から受ける金銭その他の財産によって生計を維持する者
七  第二号又は第三号に掲げる者が法人である場合にあっては、その法人が事業活動を支配する法人又はその法人の事業活動を支配する者として内閣府令で定めるもの

(特定の個人又は団体の利益を図る活動を行う者)
第二条  法第五条第四号 の政令で定める特定の個人又は団体の利益を図る活動を行う者は、次に掲げる者とする。
一  株式会社その他の営利事業を営む者に対して寄附その他の特別の利益を与える活動(公益法人に対して当該公益法人が行う公益目的事業のために寄附その他の特別の利益を与えるものを除く。)を行う個人又は団体
二  社員その他の構成員又は会員若しくはこれに類するものとして内閣府令で定める者(以下この号において「社員等」という。)の相互の支援、交流、連絡その他の社員等に共通する利益を図る活動を行うことを主たる目的とする団体



国民感情としては許すことができませんが、形式的に条文を読むと、「特別の利益供与」については、公益認定法違反を問うことは難しそうです。

「一般社団法人文教フォーラム」という法人組織自体は、「公益財団法人文教協会」の理事等ではありません(公益法人認定法第5条第3号違反にならない)。

また、「一般社団法人文教フォーラム」は、法人類型としては、非営利法人ですから、「株式会社その他の営利事業を営む者」にも該当しないでしょう。

さらに、「一般社団法人文教フォーラム」のHPを見ると、団体の活動目的は、

一般社団法人文教フォーラムは、教育、学術、文化、スポーツを始めとした文教の各分野における諸活動を支援し、その充実発展に寄与することを目的として、これらに関する調査・研究、助言等の各種事業を展開しております。
http://www.bunkyo-forum.or.jp/


つまり、「社員等に共通する利益を図る活動を行うことを主たる目的とする団体」

にも該当しなさそうです。

そうすると、公益法人認定法第5条第4号違反にもならない。

この文教協会の問題について、内閣府が全く何も言わないのであれば、同様のスキームで実質的に他の法人へ利益供与することが公益認定法上はOKだということになりますね。

つまり、公益認定法上の規制は、今回のように公益財団法人が他の一般社団法人の家賃を数百万円肩代わりしても、問題無し。

本当にこれを許していいんですか?>内閣府公益認定等委員会

どうせ解散する公益法人だから、内閣府公益認定等委員会としてはお咎め無しなのでしょうか?

この公益認定法の抜け道を考えた、公益財団法人文教協会は狡猾です。

私はもう10年近く「公益認定基準をどのようにクリアするか?」というコンサルティングをやっているわけですが、こういうスキームで利益供与の抜け道があるとは、考えもしなかったですね。

そもそも、こんなグレーなスキームを提案することなんてできませんから。

さすがと言うべきか、能力の無駄遣いと言うべきか、官僚OBが考える法律の抜け道は、良くも悪くも勉強になります。

公益財団法人文教協会が、公益認定法を順守しており、何ら法令上問題が無いのであれば、解散をする必要がありません。

世間が何を言おうと、やましいところが無いのであれば、解散する必要はないのです。

しかし、結果として、公益財団法人文教協会は解散して、うやむやのまま逃げようとしています。

逃げるのは、形式的な建前はともかく、実態としてやましいことがあるからでしょう。

国民に対する説明責任を果たさずに解散して逃げようとするのは、公益法人としては最低の振る舞いだと言わざるを得ません。
 

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公益認定を受けた法人には、定期的に立入検査があります。

これは、何か悪いことをしたから調査に入るのではなく、行政による定期的な監査のようなものです。

公益認定を受けてから概ね3年位で最初の立入検査があります。

新公益法人制度が施行されたのが平成20年ですから、早期に認定を受けて公益社団法人や公益財団法人に移行した団体には、既に立入検査が実施されています。

これからも徐々に立ち入り検査を受ける公益法人が増えると思いますし、私自身としても、立入検査についてご相談を受けることが多くなりました。

そこで、私の経験も踏まえて立入検査に関してよくある質問に回答します。

 

公益法人への立入検査って、抜き打ちで来るの?

 

定期に行われる検査については、事前に連絡があります。

例えば、私の顧問先の公益法人であれば、行政書士である私が公益法人の代理人となっています。

ですので、行政の担当者から私の事務所に電話がかかってきます。

「公益社団法人○○協会さんに、○月の第○週頃に立入検査を実施したいと考えています。」

「法人さんの都合を確認して、日程調整して頂けますか。」

というような連絡が私の事務所に来るわけです。

それで私の方は、顧問先の役員等の予定を確認します。

理事長、執行理事、事務局長クラスの役職員が同席できる日程を確認した上で、立ち入り検査の候補日を行政の担当者に伝えます。

このような事前の日程調整のやりとりは、立入検査の実施予定日の、概ね2カ月位前に行われます。

この事前の日程調整で、一応、立ち入り検査の日程は決まります。

そして、立入検査の実施予定日の概ね1カ月前になると、公文書で正式な通知が来ます。

「立入検査を平成○年○月○日に実施します。」

という内容の通知ですね。

この通知で、正式に検査の実施日が確定するわけです。

ちなみに、この公文書の通知が届くタイミングは、厳密に「検査の一カ月前」というわけではありません。

行政の担当者が通知をポストに投函するタイミングによって、予定日の25日~20日前位なってようやく届くこともあります。

立ち入り検査予定日の3週間前になっても公文書の通知が法人に届かない場合は、念の為、行政の担当者に電話で確認した方がいいでしょう。

 

 

顧問の専門家は立入検査に同席していいの?


私の顧問先の公益法人の場合ですが、行政書士である私が公益法人の代理人になっていますので、当然のように私が同席しています。

ちなみに、公益法人の代理人になれる国家資格者は、行政書士と弁護士だけです。

私の方から、立入検査の当日に同席する旨の話を出さなくても、

「齋藤先生も、この日は同席されますよね?」という感じで、行政の担当者の方から話が出て確認されます。

立入検査の日程調整の時点から、行政書士である私が同席することは当然のように話が進みます。

 

 

 

立入検査対策って何をすればいいの?


公益法人に対する立入検査に関して、一部の自治体がチェックポイントを公表していますので、参考になります。

滋賀県

http://www.pref.shiga.lg.jp/koeki-hojin/kouekinintei/files/tatiirikensa-youryou_h27-03.pdf

鹿児島

https://www.pref.kagoshima.jp/ab04/documents/24647_20130129162450-1.pdf

鳥取県

http://www.pref.tottori.lg.jp/secure/909061/07kensajissiyouryou.pdf

これらを読んで分かると思いますが、非常に多くの項目があります。

しかし、これを見て驚くとしたら、公益法人としては問題です。

なぜならば、これらの事項は、最初から法令で決まっている事項であり、公益認定を受けた最初の時点から公益法人であれば遵守しているはずの事項だからです。

公益認定を取得した時点で、これだけのチェックポイントを遵守して組織運営することが、公益法人には要求されているのです。


つまり、いまさら驚くことでもなく、慌てることではないはずなのです。

これらの行政が公表しているチェックポイントを読んで、

「なんだ、当たり前のことが書いてあるだけじゃないか」

と感じることができなければ、公益法人の運営は黄色信号です。

立入検査に先だって、何か「対策」をしなければならないとすれば、その公益法人の運営のあり方が、そもそも不適切である可能性が高いです。

普段から適正に運営している公益法人であれば、立入検査においても、運営の日常を開示すればいいだけの話なのです。

ですから、これらの行政が公表しているチェックポイントは、立入検査のために検査直前に何か慌てて準備をするためのものではありません。

むしろ、公益法人が日常の運営において、常日頃から運営が適正かどうかを自己点検するための資料として活用するべきだと思います。

当事務所のような公益認定の専門家と顧問契約をしておらず、専門家から定期に指導を受けるような環境に無い公益法人の場合は、行政が公表しているチェックポイントを活用するなどして、日ごろから自己点検を欠かさないこと。

これが究極の立ちり検査対策になります。