サンクトペテルブルグ(現地の人はペテルブルグと約して呼びます)行、
23時40分発の夜行列車、私たちは先頭の1号車です。
16両編成の最後尾にある駅舎の明かりもかすむ程ながーい列車。
発車の30分前にならないと乗車はできません。
と、左端に僅かに見える隣のホームに列車が入ってきました。
さすがにこんな時間なので、乗客はまばらです。
そして、列車が止まりドアが開き・・・
なんと降りてきた乗客のうち20人くらいの若者が、ばらばらと駅舎と
反対方向に走り始め、ホームの端まで来ると次々に線路へ飛び降り、
そのまま闇へ消えて行ったのです。
状況が理解できずにポカンと見とれていたら、
ターニャが哀しそうに教えてくれました。
「まだこの国は貧しいのです。今のは労働者階級の人で無賃乗車でしょう。
本当はいけないのですが、駅員も見て見ぬふりをしているのですよ。」
ハンチングをかぶって、細身のズボンにジャンパー姿で走り去った若者達。
別のホームからは何事も無かったかのように汽笛を鳴らして黒い“機関車”が
出ていきます。
薄暗い視界の中は、まるで古いモノクロ映画のワンシーンのよう。
あれは現実だったの?
思い出す度に何とも言えない気持ちになる、情景でした。
サンプトぺテルブルグへ着くのは翌朝8時35分。
ビクトリアというガイドさんが迎えに来てくれることになっています。
