先週末に私共、ロングライフサポート協会もお二人の身寄りの無い会員様を御見送りさせて頂きました。身寄りの無い高齢者の方々の増加に伴い、死後の納骨の対応も増えてきております。
横須賀市の身寄りの無い高齢者の納骨対応について記事が出ていましたので、ご紹介させて頂きます。多くの行政が対応を急いでいます。
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身寄りない高齢者「死後の納骨託せます」 市に視察続々

田中聡子

朝日新聞デジタル2017年9月14日

引き取り手のない遺骨が各地で急増している。供養も一切されない遺骨も少なくない。神奈川県横須賀市は、そうした事態を減らしたいと、身寄りのない高齢者の葬儀や納骨をサポートする取り組みを始め、注目を集めている。
 

 横須賀市の堀口純孝さん(79)は、15歳の時に家を出た。母が亡くなり、父の再婚相手とうまくいかなかったためだ。それ以来、家族とは疎遠になり、きょうだいの居どころも分からない。結婚もせず、今は身寄りがない。

 魚河岸や料理店、ビジネスホテルなど職を転々としてきた。病気で入院したこともあり、貯蓄はほとんどない。年を重ねると自らの死を意識するようになり、墓の不安を感じた。
 

 そんな時に、横須賀市が2015年に始めた「エンディングプラン・サポート事業」を知った。この春、市役所を訪れ、「入る墓がなくて困っていた」と相談をした。
 

 この事業は、市が間に入り、あらかじめ高齢者が葬儀や納骨先の契約を葬儀社と結び、費用を預ける仕組み。費用は25万円程度になる。市と葬儀社の連絡先を書いた登録カードを発行し、緊急時には救急隊員や病院などからの問い合わせに市と葬儀社が応じる。
 

 対象者は身寄りのない低所得者に限定。月収が18万円程度まで、預貯金が225万円以下といった目安を設けている。

 堀口さんは、契約を目指して貯蓄を始めた。 「早くお金をためて、安心して余生を送りたい」
 

■大阪や横浜でも遺骨急増

 横須賀市が事業を始めたのは、引き取り手のない遺骨が急増しているためだ。
 

 ログイン前の続き市福祉部の北見万幸次長は「昔は身元不明者がほとんどだったが、いまは身元が分かっているのに引き取り手のないお骨が圧倒的に多い」と説明する。身元が判明しているのに引き取り手がない遺骨数は、1999年度に2桁になってから増加傾向が続き、2014年度は57柱に上った。

引き取り手がない場合、市は20万円ほどの費用をかけて火葬し、納骨堂で保管する。自治体は宗教行為ができないため、供養は一切ない。亡くなった人の中には葬儀代をためたり、供養を望んでいたりしたケースもあったが、自治体は死後に預貯金を引き出すことはできない。
 

 「事前に誰かが話を聞いていれば、本人が望む形で何かできたのでは」

引き取り手のない遺骨は、ほかの自治体でも急増している大阪市が合祀(ごうし)した遺骨は05年度の1044柱から16年度には2156柱に。横浜市が受け入れた遺骨も、08年度の691柱から16年度には1123柱になった。
 

 横須賀市の事業は注目を集めており、市外からの利用希望者や、他の自治体や議会による視察が相次いでいる。神奈川県大和市は16年から同じような事業を始め、千葉市も準備を進めている。
 

 終活」に詳しい第一生命経済研究所の小谷みどりさんは「貧しい独り身の高齢者が増え、引き取り手がない遺骨はもはや特殊なケースではなくなっている。今後ますます増えるだろう」と指摘する。
 

 そのうえで、「横須賀市の事業は、家族がいなくても貧しくても、自分で死後のことを決める権利を手に入れられる仕組みだ。貧しい高齢者は孤立しがちで、公的なサポートしか頼れない人は多い。自治体が取り組む意義は大きいだろう」と話している。(田中聡子)
 

 そんな思いから、事業が生まれた。