ソングオブジアース | Life for Journey

ソングオブジアース

忘れられない1日。
記憶に刻まれてしまった1日。
誰でも、そんな日を持っているだろう。

2004年10月23日も、僕にとってはそんな1日だ。

その年の夏、コベントリーへ行った。
PHISHの最後のショーを見るための旅。
その旅を、一冊の本にすることになった。

当時、バランスというフリーペーパーを不定期に発行していたものの、
「フリーライター」という肩書きだった。

フリーにとって、もちろん会社勤めの身分でも、
数週間、自分のために時間を作ることは難しい。

仕事、あるいは仕事になっていなくても、
次の仕事のきっかけとなることはしなればならない。

例えば誰かと打ち合わせをする、展示会などへ行く。
そんなことも「次の仕事」のきっかけ作りだ。
ライブに行くことも、もしかしたらそのなかに含まれるかもしれない。

PHISHの旅を本にしてもらえることにはなったのだけど、
なかなか原稿に迎えない。

そんな状況のなかにあって、
2004年10月22日に終わった仕事を境に、
本の原稿が終わるまで、
人に会うことをやめた。

つまり、2004年10月23日が、
PHISH本の原稿を書きはじめた1日目。

そんな日の夕方に、中越地震が起きた。


2007年2月、Candle JUNEに誘われて、
川口町中学校の仮説住宅地内で開催された、
復興イベントへ行くことになった。

行くきっかけの大きな要因となったのが、
10月23日から数日間の記憶だったのかもしれない。

原稿の進行とともに、
被害状況が明らかになっていく。
まったく関係ないふたつが、
なぜかクロスしている感覚。

ひとつの自然災害の復興に対して、
それほど関わったことがなかったけれど、
復興イベントは参加しなければならないと感じた。

寒い冬。けれど川口町は例年に比べて雪が少ない。
仮設住宅は、その年で閉鎖される。

仮説に住む方々とふれあい、
復興イベントをJUNEくんと一緒に立ち上げた地元の若い連中と語り合う。

ひとつのイベントに参加して、
あれほど多くの友人ができたのは、
この復興イベントがはじめてだった。

イベントが、どう未来を開いていくのか。
どう地域とコネクトしていくのか。
祭りの原型とは「祈り」なんじゃないのか。

そんなことを感じたイベントになった。

その復興イベントがソングオブジアースへと育っていった。
ソングオブジアース2012、明日21日に開催。

残念だけど、去年に続いて今年も行けない。
けれど、想いは新潟へ、川口へ向いている。


(TK)