ブルーライトに続き、今回は最近気になるバイオレットライトについて。
バイオレットライト(紫光)とは、
自然光にのみ存在する可視光線で、
約360~400ナノメートルの波長。
一部はブルーライト(380~500nm)に含まれ、
一部は紫外線UVA(~380nm)とも重なる。
近年、この紫光が近視抑制に有効である(眼軸の伸長抑制)とする研究がでています。
研究施設は慶応大学医学部眼科学教室。
NHKの番組「あさイチ」で取り上げられたらしいので、ご存知の方も多いかも。
成長期の子供がバイオレット光をあびることによって、EGR1という遺伝子に働きかけて眼軸長が伸びること(近視進行)を妨げるというのです。
二時間程度太陽光の下で遊ぶことが推奨。
子供は外で遊べとはよく言われることですね。
続いて同施設から、成人の強度近視進行抑制についても有効であるという報告がでました。
一般に成人になるとほとんどの人は近視の進行は止まりますが、
強度近視では一生進行する場合もあり、
深刻な眼病をもたらすことも起こり得ます。
この研究では、強度近視の人に、
一方は紫光を通さないコンタクトを入れ、一方は通すコンタクトを入れるICL(眼内コンタクトレンズ挿入)手術を行い、それぞれの群の五年間の経過観察をしたところ、
バイオレット光を透過させた方が有意に眼軸長の伸びが少なく、
近視進行がゆるやかであったとする報告です。詳しくは下のurlで。
およその被験者は30代〜40代であったようです。
リンク先から一部抜粋
術後 5 年間の屈折値の変化量は、
(バイオレット光を)透過しない AS群では-1.09 D、
透過させたAF 群では-0.49 D で、
AF 群の方が AS 群よりも近視の進行が抑えられる傾向が示されました。
術後 5 年間の眼軸長の変化 量は、
AS 群では 0.38 mm、
AF 群では 0.09 mm で、
眼軸長伸長量は AF 群の方が AS 群よりも 有意(P = 0.030)に少ないことが判明しました。
バイオレット光を通しても5年間で2段階、通さなければ4段階進むというのはちょっと驚きでしたね。
少しでも近視は進んで欲しく無いですね。
実験データが11例11眼と15例15眼の平均ということなので、もっと大規模にしたらどうか?とか。
ICLできるということはまず眼病がない人であり、
すでに病気がある場合にも同じことが言えるかどうかなど疑問は残ります。
ちなみに眼鏡メーカーJINSが慶応大と産学連携で、
UVカット率を少し下げてバイオレット光を60%程度透過させるレンズを売り出しているようです。
すでに製品化されているのですね。
私が最近作ったルティーナは400ナノメートル以下の紫外線などは100%カット。
つまりバイオレット光もすべてカットされる。
(加齢黄斑変性などの病気に良くないと言われているHEV光線は400~420)
また運転用の眼鏡も、UVカット+ブルーライトカット(どこを何パーセントカットかは不明)。
今の眼鏡やコンタクトをしてるとバイオレットライトはUVカットと一緒にほとんどカットされてるかもしれません。
素材ももともと紫外線を吸収するプラスティックであるし。
ともあれ、老眼世代には近視の進行はあまり関係ないでしょうし、
強度近視でも何十年と度数がほとんど進んでないとかだったら、
気にする必要は無いでしょうね。
ブルーライト、バイオレットライト、HEV可視光線、いったい何が問題で何が必要か。
さしあたってこれからウォーキングに行くときなど、
自分はどんな眼鏡をかけたらいいのか(あるいは裸眼?)、ちょっと考えてしまいます
この研究は今のところまだ日本の一施設だけのデータで、英語論文になっているようですが、
反対する、あるいは追随する研究もざっと調べた範囲では見当たりませんでした。
眼科学会全体の総意となるまで様子見でいいのかしら?
眼鏡のガイドライン作ってほしい。。。。。
訂正:
前々回の記事「ブルーライトカット眼鏡」で遮光眼鏡についての部分で、
「信号機の誤認を起こす」と書いてしまいましたが、
いただいたメールを読みかえすと、
ブルーライト全域を完全にカットする特殊なレンズカラーの場合、その可能性がある、という意味でした。
本文を訂正しました。
コメント下さった方ありがとうございます。