先日4月27日に、新型コロナ感染症で生死の境をさまよっていた

ボリス・ジョンソン首相が見事回復し、公務に復帰しました。

一時は、医師団も首相死亡の場合のシナリオも検討していたそうです。

 

 

復帰の二日後には、6人目?と言われる赤ちゃんも無事誕生して、

英国民は皆、胸をホッと撫で下ろしたところです。

 

 

これに先立ち、イギリス政府が国民に自宅待機をお願いすると決めた際には、

ボリス・ジョンソン首相が、自ら国民に向けて手紙を書きました。

 

 

我が家にそれが届いたのは、4月8日でした。

 

 

 

                       - You must stay at home.

 

 

形式ばった書き出しで、読む気をなくし、すぐにどこかに追いやられて、後回しにされるような手紙ではなく、

1枚の紙に両面印刷され、その場でさらっと読んで、私たちに何を訴えたいのか、

すぐに理解できるような手紙です。

 

 

とにかく、届いたらすぐに国民に手紙を読んでもらうこと。

何をして欲しいのか、シンプルに伝えること。。

そして、すぐに日常生活に取り入れて、実行してもらうこと。

これらを目的としていることが、はっきりとわかります。

 

 

イギリスに住んで思うこと、

イギリスの皆さんは、とても素直で誠実で正直だと思います。

自分勝手に行動する人は、あまりいないような気がします。

自分さえ良ければいい、という人が日本人には多くいますが、

そのような考えは、とても軽蔑されますし、社会として許さない、

という雰囲気を感じます。

 

 

ですから、このような手紙が来ると、きちんと読みますし、

自主隔離に対して、いたずらに反抗したり、無視したりする人を、

今まで報道で見たことがありません。

なので、外出証明書の提出や罰金といったところまで踏み込まないのだと思います。

 

 

自主隔離生活が始まってすぐに、隔離生活のためにウィンザー城への移動を完了した

エリザベス女王も、国民に向けてスピーチをするためテレビに登場しました。

 

 

4月5日、日曜日午後8時からのエリザベス女王のスピーチ(BBC)には、

例年のクリスマスのスピーチ同様、

国民の多くがテレビの前で、その貴重な5分間のスピーチに耳を傾けました。

「私たちは、’再び’会います。」

 

 

これは、第二次世界大戦中にイギリス国民の間で流行った歌の歌詞でもあるそうです。

わたしたちは、「再び、会う」と。

 

 

 

↓この写真は、去年のクリスマスの女王のスピーチのもの

 

 

 

ボリス首相は、女王のスピーチのあったその夜救急搬送され、入院したのですが、

チャールズ皇太子も感染していたとわかり、国民はみな一瞬ドキリ!です。

女王は大丈夫なのか、と心配していました。

数週間経ち、女王が健在であることがわかると、

私たちはみなホッとしたものです。

 

 

イギリスには、NHSという国民皆保険制度により、誰もが無料で受けられる医療制度があります。

これは、以前暮らしていたアメリカとは大きく違う制度です。

 

 

アメリカは、基本的には、自分の面倒は自分で見ろ!という国です。

入国するときにも、入国させてやる、と言わんばかりに横柄な態度をとられるのに

皆さん気付いているでしょうか?

ここ数年は特に、どんどん増えるアジア人(移民目的の中国人、韓国人の数は半端ではない)に辟易しているアメリカ人。

同じアジア人である私に対しても、「お前もか!」と言わんばかりの視線を感じます。

「住みたくてVISA取ったんじゃないわよ!(カンパニー・トランスファー〈異動〉)よ!」

と心の中でムカつきながら。。。

 

 

20年以上もアメリカで暮らしている友人に、空港(NY)での入国審査官の態度について

話していたら、

「アメリカは、基本的に(アメリカに)入れてやる、ていうのがあるからね。」

と言われました。

それで、そういうことなんだ、と合点がいったわけです。

 

 

でもアメリカ人曰く、アメリカ国民に対しては、もっとヒドイ、そうです。。。

??

「なんで、おまえがアメリカのパスポート持ってるんだ!」

ということ?

 

 

今回のコロナ感染症での治療に関しては、アメリカ政府として

無料で医療が受けられるようにする、とトランプが発言したかと思いますが、

普段のアメリカの医療費は、異常に高額だし、でたらめです。

 

 

今回のコロナ騒動だって、もし自費となったら、

100万~200万かかる可能性もあります。

しかも、保険に加入していても、自費で支払う分もあります。

 

 

医療機関は、その人が加入している保険会社によって、

請求金額を変えたりします。

医療機関に入ってくる治療費が多くなるように請求するということがよくあり、

同じ治療を受けても、加入する保険会社の補償内容によって、

他の人とは支払う治療費が違うのです。

 

 

なので、請求書が来るまでは、いったいいくら請求してくるのか、

自分はいくら支払うのか、あちらの自由なので心配しなくてはならないことになります。

その保険料だって、自分で払って(結構な金額)加入しているのだから、

医療機関を受診するたびに、ムカつきます。

一方、たくさん払ってくれる保険に加入しているとわかると、その患者はよい患者となり、

ウェルカムなのです...

 

 

ただ、このようにでたらめなので、文句を言えば減額されることもあります。

まあ、でたらめ具合は、医療費に限ったことではありません…

税金の取り立て以外はすべてといってもいいかもしれません。

交通違反の罰金だって、当たり前のように裁判所で減額のやり取りがされています。

 

 

友人曰く、「アメリカで暮らすには、ペイシェンス(忍耐/辛抱/我慢)が必要」

日々是れ実感。

 

 

私はとにかく、ダメダメなアメリカから一刻も早く脱出したかったので、

アメリカに住みたがる人、アメリカ崇拝をする人にたいして、

「いったい、日本でどんな生活をしていたんだろう」

と疑問に思うのですよね。。。

911からは、自由もないですよ。すべてを政府が把握しようとしています。

 

 

その点、イギリス・ロンドンに引っ越してきて、

ダダ下がりだったQOL(クオリティ・オブ・ライフ)もグングン上昇。

自由と正義と安心感。プラス平和。

救われたような気がしています。

これなら日本に帰らなくても大丈夫☆

 

 

もともと日本が国を作るうえで、選択し参考にしたのは、イギリスの政治や国民福祉制度。

王室もあり、長い歴史と伝統(文化)のあるイギリスは、

日本で育った日本人にとっては、とてもしっくりくるはずなのです。

 

 

そして、国家として国民の福祉を大事にするという考えがあるからこそ

国民皆保険制度があるのです。

この国に住まわせてやる、その代わり税金を納めろ、福祉はない。

というアメリカとは大違い。

 

 

「ゆりかごから墓場まで」という言葉を学校で習った記憶があると思います。

有り難いことに、イギリスのこの社会保障制度を日本は参考にしています。

 

 

アメリカは「自分で自分の面倒を見る」社会。

安全もそう。「銃を買って、自分で自分の身を守れ」ということですね。

今またコロナ騒動で銃を買う人が増えているとか。

 

 

まだまだ300年そこそこの若い国だから、

そもそもの国の成り立ちが成り立ちだから、仕方ないのかもしれません。

若いといえば、大統領のトランプだって、移民に対しても、とても厳しい差別的な発言をしていますが、

実のところ、本人はまだまだほんの(ドイツからの)移民3代目です。

独立戦争の頃からアメリカに根付いているような顔して発言していますが。。。

 

 

少し話が逸れましたが、

イギリスはまだまだ感染者・死亡者ともに多い状態が続いています。

 

 

毎週木曜日の夜8時になると、外に出て、NHSの医療サービスに感謝の気持ちを伝えるため

クラップ(拍手)を行っています。

 

 

街を散歩していると、家々の窓に虹(レインボー)の絵が飾られているのをよく見かけます。

最初は意味がわからなくて、LGBT?て思っていましたが、そのうちすぐにわかりました。

よく見ると、「THANK YOU NHS」と書かれていて、これもNHSに感謝する気持ちを表したものでした。

まだ学校があったころ、おそらく3月9日の週にたくさんの学校で描かれたのではないでしょうか。

たくさんの家に飾られています。

 

 

 

 

 

イギリスのコロナ感染症に対する戦略も、ジョンソン首相の自主隔離の訴えも、

NHSの医療サービスを守るため。

感染爆発による医療サービスの崩壊を防ぎ、国民への無料の医療サービスを

質を落とすことなく継続的に提供し続けることを可能にすため。

 

 

 

私の住んでいる家の周辺では、救急車の音を聞いたことがありません。

いたって静かで平穏で、皆さんが粛々と毎日を送られているように感じています。

なので、一体どこで感染が発生しているんだろう、と思うことも度々ありますが、

世界全体として、感染が沈静化するまでは、自分のためにも他人のためにも、

規制緩和後もなるべく自宅にいて、感染の機会を持たないようにしようと思っている

今日この頃です。