國立故宮博物院から
少し先に(バス停で二つ程)行ったところに
「張大千紀念館」があります。
張大千(1899~1983)・・と言えば
長い真っ白なひげと杖、仙人のような風貌が思い出されますよね。
山水画法の一つ
潑墨 (筆にたっぷり墨をつけて、撥ね散らす様にして描く方法)
潑彩で描く山水やハスの花が有名です。
敦煌に住み着き壁画を模写したことでも知られています。
いわゆる「琴棋書畫」を兼ね備えた近代における有名な芸術家です。
そんな彼が晩年に移り住んだ家が紀念館になっています(入館料は無料)
この紀念館の参観は一度に15人以内
それが1日に4回、60人までの人数制限があるんです。
一週間前までにHPから(又は電話で)報名(予約)をしておくと
一週間前に可能かどうか返事が来ます。
でも希望者が5人未満だと参観出来ないので
(5人未満の時が多いです)
HPの予約申し込みのページを見ながら
日程を調整していきます。
私も2度、日にちを変更して、なんとか参観してきました。
暑いので早めに行って少し休んで~・・なんて考えて行ったものの
入り口で、希望者が全員集まってから中に入るらしく
休む場所はありませんのでご注意を
もちろん飲み物などの売店もありません。
この日は特別暑くて・・(本当に暑かった)
ところが~
早く行き過ぎて・・(休む場所がないのを知らなかった)
そんな私を見かねたのか・・(このまま帰ってしまおうかと思った)
特別に中に入って待つことが出来ました・・(ご配慮に感謝します)
この日、他には
本来なら中国大陸からの旅行者の3人が来るはずが現れず。。。
台湾人の親子の二人連れと3人でした。
前置きが長くなりましたが、それでは参観いたしましょう~
故宮博物院のボランティアの方がいらして説明してくれます。
その日は、上品な女性の方で
説明は北京語ですが
親切且つ丁寧に判りやすく説明していただきました。
まず大きな円卓がある食堂に案内されます。
彼は客人を招いて家で食事をするのが大好きだったらしく
専属のシェフもいたそう。
やはり、”食”は一番なんですね。
壁には彼の手書きのメニュー「賓筵食帖(コピー)」が飾られています。
(絵画などは、湿度などから作品を守るため複製品です)
住宅は四合院の造りになっていて
二階建てですが
一階のみの参観でした(二階は寝室など)
家具・調度品などは全て当時のものだそうです。
続いて客間。
晩年、ピカソと対面した時の写真などが飾られていて
夫人の客間(4人の奥さんがいたそうですが・・)へと続き
更には、たくさんの筆や石の置物が飾られている仕事部屋。
どの部屋からも中庭をみることが出来ます。
そして究極は梅ノ木がある庭です
鯉が泳ぎ、梅の木が日陰をつくり
その庭の後ろには川が流れ、それこそ山水画の世界ですよ
りっぱな盆栽もありました。
大雨の時、川の水かさが増し被害を受けたので
塀を少し高くしたそうですが
自宅に居ながら
川のせせらぎを聞きながら絵を描くとはなんとも風流ではありませんか~
(せせらぎというにはかなりの水の勢いでしたが・・)
その脇には鳥小屋や猿を飼っていたスペースもあり
動物を愛し(特に猿が大好きだったそう)
その姿を描いていた様子が目に浮かぶようです。。。
ちょっとした動物園ですね~。
静物を描く洋画とは違い
こういった住環境が更に制作意欲を掻き立てることになったのでしょう。
そうそう、客人を招いてバーベキューをするスペースもありました。
自然を愛し、食を愛した姿が垣間見えたような気がします。
そして、梅の木の下に”梅丘”と書かれた大きな墓碑があり
その下に彼の遺骨が埋葬されているそうです。
彼の死後、この住居をはじめ故宮博物院の管理するところとなったそうですよ。
館内はもちろん撮影禁止ですが
門を入ったところまではOKということで雰囲気だけでも伝わりますでしょうか。
写真は張大千が生前に使用していたリンカーンです。
張大千紀念館・・・台北市士林區至善路2段342巷2號