スタッフが美味しい鯖をくれた。
その鯖は長年使い続けている秘伝のタレに漬けたものでできていた。
同じタレを長年使い続けて雑菌があるのではないか、衛生的にどうなんだと、悪評が生まれたこともあるらしい。
しかし実際にそのタレを検査に出してみたら、雑菌どころか、あらゆる素晴らしい菌に溢れていたそうだ。
その中にある菌を使って、いすみ市にある『チーズ工房千(sen)』は世界で認められるチーズを作っている。
多様な菌がいるという事はそのものに深い味わいを作り出し、さらに他の美味しい物まで作れてしまうのだ。
それはまるでコイノニアの空間と同じだと思った。
これは良い悪いと私たちの都合で勝手に判断して、邪魔なコトやモノを排除していくと、そこにはとても不安定なものが出来上がる。
事実、多くの大手介護施設や病院などは
マニュアルに特化し、働く者や利用者を規則で管理し、従わない者は排除するか支配下におこうとする。その空間はあたたかいというよりも冷淡で殺伐としているだろう。
ところが、コイノニアや全国にある一部の心ある事業者は、目の前にある人たちを大切に受け入れていくということをしている。出来る限りカテゴライズをしていない。
そうする事はデメリットを産むどころか、そこには新たな味わい、空間、価値を生み出すことは、その実践者達がよく理解している。
コイノニアのことを例に挙げると
コイノニアには様々な立場や能力のある人たちが暮らし、集っている。
介護のお手伝いが必要な方、今でも仕事をしている方、元気に旅行に出かける方、重度知的障害の方、認知症の方、色々だ。
スタッフも、シングルマザーだったり、元うつ病があったり、外国人国籍のある方だったり、18歳から81歳のおばあちゃんスタッフまで、様々な年代や価値観の人たちが働いている。
スタッフの子供達は当たり前のように毎日出入りし走り回わり、猫もくつろいでいる。(残念だけど今のところ犬はいない😂)
ご家族もぶらりと住人に会いにきては、
ゆっくりと面会を楽しみ、
地域の方々や友人たちも遊びにきてくれる。
ご家族は面会先の住人だけでなく、
他の住人とも友達のようになっていたり、
スタッフとご家族が
まるで親戚のように親しくなっていたりする。
様々な立場の人間同士が
多方向の斜線が重なり合うように
豊かな人間関係がそこにはあり
その中にはドラマのようなストーリーが日々繰り広げられている。
悲しみも喜びも
笑いも怒りも
様々な感情さえ
豊かだと思える。
管理やルールに縛られず、
排除しないことで生み出されるこの空間が、
まるで豊かな"菌世界"のように思えた。
写真...モンゴルからのスタッフメグちゃんと子供たちと海に行った時に撮ったもの。
mie