検査を受けたクリニックから新宿駅に向かう途中
たくさんの人にぶつかりながら歩く。

どうしよう、どうしよう、もう、乳がんは確定だ。
みんなになんて言おう?
仕事はどうしよう?
乳がんってどんな病気なんだろう?

そこでふと
以前、友達の友達として紹介されたMちゃんのことを思い出す。
わたしと会った数年前の時点では
すでに社会復帰をしていた彼女だが
20代で卵巣がんと乳がんだったことを話してくれた。
とても頭がよく、しっかりしたコで
美人な上に前向きなMちゃん。
もう頼れるのは彼女しかいない。

彼女は結婚して、出産したばかり。
忙しいだろう、とは思いつつメールをしてみる。
すぐに返信はなかった。

そのまま、とりあえず渋谷へ向かおうと駅へ行き
MRIのクリニックが
渋谷の新南口近くだったため、
一駅で着く埼京線を選択。

ホームにつき、乳がんについてiPhoneで調べる。
乳がんについての大まかな知識を得て
乳がん経験者のブログを読み漁る。

この時、わたしはあまりにボーッとしていて
渋谷とは逆の池袋方面に出てしまい
また新宿に戻る、
そしてまた池袋方面に出てしまう、ということを2回も繰り返した。
埼京線に乗り慣れていないとは言え、
もう渋谷へは辿り着けないのではないかと思うほど。
新宿から渋谷まで、わずか8分が遠い。

車内で少し泣きながら、乳がん情報に目を通し
不安いっぱいのまま、やっと渋谷に着く。

あんなに余裕があった時間も、もういい時間になっていた。