フィリピン日誌2 -マニラからバギオへー
9月11日。
フィリピンの首都メトロ・マニラのパサイ市にあるヴィクトリーライナー・バスターミナルでバギオ行きのチケットを買う。
チケットカウンターにて。
「何時出発のバスがありますか?」
『30人集まったら出発しますので、時間は決まっていません』
「……」
英語学校の送迎を使わず自力で学校まで行きたい私は、現地のスタッフの携帯にバスの出発時間と車両番号を伝えなければいけない。いつ来るとも知れないバスを待つこと40分、それらしいバスが待合所の前に止まった。乗り込むやいなや、運転手に了解を貰い、雨の中、ターミナルの公衆電話に走る。
フィリピンの公衆電話はサリサリショップという、キオスクのような店に設置されている。
「この電話使っていいですか? 国際プリペイド(前払い)カードを持っているので、お金は払いませんが」
『OK. You will try.』
ところが繋がらない。どうもそうなのである。昨晩宿泊したホテルのフロントも言っていたが、フィリピンでは「固定電話から携帯へはかけられない」ようなのだ。(後で調べると、カード式の公衆電話ならOKとある)
※ちなみに私のは正式に言うと、紙に暗証番号が書かれたものをローソンで買ったので、カードではない。
仕方なくバスに戻る。外国人と気を使ってのことか、席はなんと一番前であった。
すると隣の席の青年が話しかけてきた。
『※○△□×?』
どうも現地語らしい。私が外国人だと分かると彼は英語に切り替えた。
彼はフィリピンの南部、ミンダナオ島から今朝飛行機でマニラに着き、大学関係の仕事か講習かでバギオに向かっているのだという。
好青年そうな彼に電話の掛け方を尋ねると、なんと持っていた携帯でスタッフにメールを送ってくれた。
その手があったか! しかしまた疑問が浮かび上がる。
フィリピンでは携帯番号が分かればメールが送れるのか? 日本で言う機種が同じ人同士のショートメールみたいなもんか? その通り。番号が分かれば機種が違えどメールできるらしい。
2度の休憩を取りながら、バスは約8時間走り続けた。
青年はオレオクッキーや休憩所で買ったパンを分けてくれた。道端から物売りが乗り込んできては、ミネラルウォーターや得体の知れないお菓子を売りつけていった。
バスの中では英語字幕でアメリカの映画が流されていた。
フィリピン人は皆英語が分かるのか?
バスの運転席上部には数珠のようなものと赤い造花をまとった、薄緑色のマリア様が飾られていた。
血液の中に異文化のスパイスが打ち込まれていく。
19時過ぎ。無事バスは高山都市バギオのバスターミナルについた。
2階でチキンヌードルを食べ、タクシーを捕まえ、学校に向かう。
タクシーの運ちゃんは3人の妻と分かれ、子供は9人。他にツアーガイド、車のメカニック、ダイビングインストラクターと4つの仕事ができるそうだ。今は運ちゃんとガイドとして、1日16時間働いているという。
『バギオ周辺には見所がいっぱいあるから、僕がガイドしてあげるから。だから休みになったら連絡してくれよな。プロミス?』
学校のあるグリーン・ヴァリー(緑の谷)の警備ゲートをくぐると、濃霧が出迎えてくれた。
『オ~、フォギィーね』、運ちゃんが言う。
foggy. 多分、霧って意味だな。こんな風にして、会話の一つ一つが勉強になる。
翌日土曜日、私を含め6人の新入生(4人は韓国人)は、易しくもない筆記テストとマンツーマンの会話テストを受け、いきなりの停電を体験し、標高約1500メートルの寒い雨の中で週末を過ごした。
つづく
フィリピンの首都メトロ・マニラのパサイ市にあるヴィクトリーライナー・バスターミナルでバギオ行きのチケットを買う。
チケットカウンターにて。
「何時出発のバスがありますか?」
『30人集まったら出発しますので、時間は決まっていません』
「……」
英語学校の送迎を使わず自力で学校まで行きたい私は、現地のスタッフの携帯にバスの出発時間と車両番号を伝えなければいけない。いつ来るとも知れないバスを待つこと40分、それらしいバスが待合所の前に止まった。乗り込むやいなや、運転手に了解を貰い、雨の中、ターミナルの公衆電話に走る。
フィリピンの公衆電話はサリサリショップという、キオスクのような店に設置されている。
「この電話使っていいですか? 国際プリペイド(前払い)カードを持っているので、お金は払いませんが」
『OK. You will try.』
ところが繋がらない。どうもそうなのである。昨晩宿泊したホテルのフロントも言っていたが、フィリピンでは「固定電話から携帯へはかけられない」ようなのだ。(後で調べると、カード式の公衆電話ならOKとある)
※ちなみに私のは正式に言うと、紙に暗証番号が書かれたものをローソンで買ったので、カードではない。
仕方なくバスに戻る。外国人と気を使ってのことか、席はなんと一番前であった。
すると隣の席の青年が話しかけてきた。
『※○△□×?』
どうも現地語らしい。私が外国人だと分かると彼は英語に切り替えた。
彼はフィリピンの南部、ミンダナオ島から今朝飛行機でマニラに着き、大学関係の仕事か講習かでバギオに向かっているのだという。
好青年そうな彼に電話の掛け方を尋ねると、なんと持っていた携帯でスタッフにメールを送ってくれた。
その手があったか! しかしまた疑問が浮かび上がる。
フィリピンでは携帯番号が分かればメールが送れるのか? 日本で言う機種が同じ人同士のショートメールみたいなもんか? その通り。番号が分かれば機種が違えどメールできるらしい。
2度の休憩を取りながら、バスは約8時間走り続けた。
青年はオレオクッキーや休憩所で買ったパンを分けてくれた。道端から物売りが乗り込んできては、ミネラルウォーターや得体の知れないお菓子を売りつけていった。
バスの中では英語字幕でアメリカの映画が流されていた。
フィリピン人は皆英語が分かるのか?
バスの運転席上部には数珠のようなものと赤い造花をまとった、薄緑色のマリア様が飾られていた。
血液の中に異文化のスパイスが打ち込まれていく。
19時過ぎ。無事バスは高山都市バギオのバスターミナルについた。
2階でチキンヌードルを食べ、タクシーを捕まえ、学校に向かう。
タクシーの運ちゃんは3人の妻と分かれ、子供は9人。他にツアーガイド、車のメカニック、ダイビングインストラクターと4つの仕事ができるそうだ。今は運ちゃんとガイドとして、1日16時間働いているという。
『バギオ周辺には見所がいっぱいあるから、僕がガイドしてあげるから。だから休みになったら連絡してくれよな。プロミス?』
学校のあるグリーン・ヴァリー(緑の谷)の警備ゲートをくぐると、濃霧が出迎えてくれた。
『オ~、フォギィーね』、運ちゃんが言う。
foggy. 多分、霧って意味だな。こんな風にして、会話の一つ一つが勉強になる。
翌日土曜日、私を含め6人の新入生(4人は韓国人)は、易しくもない筆記テストとマンツーマンの会話テストを受け、いきなりの停電を体験し、標高約1500メートルの寒い雨の中で週末を過ごした。
つづく
フィリピン日誌 1
ポルトガルの探検家、フェルディナンド・マゼランが上陸して488年後の今、同じフィリピンに来て3つの夜を過ごした。
まるでキャンプのような、「真っ只中」に放り込まれて、サバイブしている感じが気持ちいい。
凍え、狭さ、遅さ、高さ、少なさ、重さetc、あらゆる環境、どんなジャンクな食事でも乗り越えられる奴だけが、一人旅できる資格を持つと、まるで天から試されているようだ。
実際、65Lのバックパックを背負い歩いて初めて見える景色がある。
友人がバックパックに直に白サインペンで名前を書いていたのは、到着国際空港の手荷物受け取り所で、他人に間違われないようにするためだろう。
腰に多すぎるくらいのポケットのついたポーチを付けていたのは、財布を安全に取り出しやすくするためだろう。
折りたたみ傘に、世界最軽量ナイロン上着。どこかイージーな性格のくせに、そんなものまでやたら準備万端だったのは、体調管理のため、どんな時も全力で疾走するのに必要だったからだろう。
日本では「?」だったことが、実際自分が異環境に投げ込まれて初めて、体の痛みごと知る。
ゲームは、日本出国前からスタートした。
9月10日、関西国際空港、19時20分。
この時間にフィリピンのマニラに向け飛ぶはずのセブ・パシフィック航空が、なんと2時間遅れ。21時30分出発予定だという。
「あがいたって無駄なのよ。命が惜しけりゃ待合ロビーで2時間潰しな」天が言う。
しょうがないから英単語、iPodでミュージック。隅では日本人カップルがフォークダンスの練習始める。くるくる、くるくる。
4時間のフライトを終え、日本時間の25時30頃マニラのニノイ・アキノ国際空港到着。タクシーで予約していたホテルに向かうのだが……。
「ハロー、マアム(女性の敬称)。バギオにバスで向かうって? こんな時間はヴィクトリーライナーはもう閉まってるよ。だけど別のバスターミナルならまだ動いてるから、そこへ連れてってあげるね」
運転手のそんな勝手な親切に気づいたのは、タクシーメーターがやたらと高くなっていることに気づいた時だった。
「No!No! ヴィクトリーライナーの向かいに予約してるホテルがあんのよ! 今晩はバスに乗らなくていいから、プリーズ、ホテルへGO!」
結局約150ペソのところを700ペソも払わされ、やっとこさホテルに着いたのは深夜2時半(現地時間深夜1時半)。
「ほらほら、運ちゃんやホテルポーター男性5人があんたを取り囲んでるぜ。相場も分かんねえんだし、1400円くらいのもんだ。しかも治安が悪いので有名なマニラだぜ。
払っときな」天が笑う。
本当は法外な値段で設けているにもかかわらず、少し値引きしてやったんだとばかりに困惑の表情を演技するドライバー達。
数年前がフラッシュバックする。バリ島のガイドが全く同じ表情だったことを。
そしてやっとこさ寝床にありつけると思いきや……。
「ハロー、マアム。あんた誰なの。こんな時間に来てくれたって部屋はないんでございます」。プリティなフロント係りが丁寧に言う。
「No!No! バギオの英語学校の生徒です! ほら、この名前で10%割引予約してあったじゃん? 飛行機が2時間遅れたの」
「……。ソーリー、マアム。予約の名前が1文字間違ってるわ。ともかく部屋はないんです。8人一緒のドミトリーなら空いてます。早朝5時までそこに泊まって貰えたら起こしに行くから、そしたらテレビ付の素敵な部屋に移動してもらえるわ。その代わり、500ペソ追加で2400ペソ払って下さいな」
冗談じゃねえよ! 日本並みの高さじゃん。しかも私の荷物、鍵かけられませんから!
「英語学校の日本スタッフに電話させて下さい。もしくはこの近くに別のホテルは?」
「ソーリー。ホテルの電話からは携帯に掛けられません。周辺にホテルはないし、バスターミナルも11時45分まで開きませんでございます」
ふんがー!!
「おいおい。金より疲れを取ることが大切だろう。他にどんな手段があるというんだい、ベイビー。ほら、払っときな」天があきれている。
1時間前後のすったもんだの末、仕方なく8人部屋に移動する。
すると予想外に、客は私以外に誰もいないではないか。
そこでさらに交渉し、2段ベッド分(2人分)のお金を払うことで、このドミにチェックアウトの12時まで泊まれることになった。770ペソ(約1400円)、これなら許せる。
あ~、これでやっと誰の邪魔も受けず、ぐっすりだわ~。
2段ベッドの下の段で、薄いシーツにうずくまり、爆睡こいた。
ところが早朝4時50分。
ピンポーン! 部屋のベルで起こされる。
「ハイ、マアム。お客が一人来たの。ご一緒いいかな?」
ど、どうじょ……。
男案内係りは、ベッドが4つもあるのに、何故か私の隣ベッドにシーツを敷き始める。
な、なんでやねん。わしの荷物、鍵かけてないゆうてるやんけ……。あっちあんなに空いてるやんけ。
もう知らん…ぞ。わし、寝…る。
洗面所から客の物音がする。
朝9時に目を覚ますと、隣はもう無人だった。
も、もう?!
そして外からはザッーという大音量。まさか雨?! 傘ないし!
部屋には窓がないのでドアを開けると、廊下に掃除道具が置いてある。
乾燥機の音か何かかも? 昨日からろくなもの食べてないし、思い切って早めにチェックアウトするか?
一か八かで荷物をまとめ階段を下りると、窓の外、目の前に、雨降りのバスターミナルが見えた。
ホテルを出るとタクシー引きの青年が笑顔で声を掛けてくれる。
「ハロー、マアム! タクシーかい?」
「いや、バスなんだ。フィリピンは毎日雨なの?」
「今はレイニーシーズン(雨期)でね、almost(だいたい)さ」
青年は困ったように微笑んだ。
「どうだい、昨日からのゲーム。だけど差し引きゼロになったじゃないか」
天だか神だか大いなる力か隣の誰だかが楽しんでた。
つづく
まるでキャンプのような、「真っ只中」に放り込まれて、サバイブしている感じが気持ちいい。
凍え、狭さ、遅さ、高さ、少なさ、重さetc、あらゆる環境、どんなジャンクな食事でも乗り越えられる奴だけが、一人旅できる資格を持つと、まるで天から試されているようだ。
実際、65Lのバックパックを背負い歩いて初めて見える景色がある。
友人がバックパックに直に白サインペンで名前を書いていたのは、到着国際空港の手荷物受け取り所で、他人に間違われないようにするためだろう。
腰に多すぎるくらいのポケットのついたポーチを付けていたのは、財布を安全に取り出しやすくするためだろう。
折りたたみ傘に、世界最軽量ナイロン上着。どこかイージーな性格のくせに、そんなものまでやたら準備万端だったのは、体調管理のため、どんな時も全力で疾走するのに必要だったからだろう。
日本では「?」だったことが、実際自分が異環境に投げ込まれて初めて、体の痛みごと知る。
ゲームは、日本出国前からスタートした。
9月10日、関西国際空港、19時20分。
この時間にフィリピンのマニラに向け飛ぶはずのセブ・パシフィック航空が、なんと2時間遅れ。21時30分出発予定だという。
「あがいたって無駄なのよ。命が惜しけりゃ待合ロビーで2時間潰しな」天が言う。
しょうがないから英単語、iPodでミュージック。隅では日本人カップルがフォークダンスの練習始める。くるくる、くるくる。
4時間のフライトを終え、日本時間の25時30頃マニラのニノイ・アキノ国際空港到着。タクシーで予約していたホテルに向かうのだが……。
「ハロー、マアム(女性の敬称)。バギオにバスで向かうって? こんな時間はヴィクトリーライナーはもう閉まってるよ。だけど別のバスターミナルならまだ動いてるから、そこへ連れてってあげるね」
運転手のそんな勝手な親切に気づいたのは、タクシーメーターがやたらと高くなっていることに気づいた時だった。
「No!No! ヴィクトリーライナーの向かいに予約してるホテルがあんのよ! 今晩はバスに乗らなくていいから、プリーズ、ホテルへGO!」
結局約150ペソのところを700ペソも払わされ、やっとこさホテルに着いたのは深夜2時半(現地時間深夜1時半)。
「ほらほら、運ちゃんやホテルポーター男性5人があんたを取り囲んでるぜ。相場も分かんねえんだし、1400円くらいのもんだ。しかも治安が悪いので有名なマニラだぜ。
払っときな」天が笑う。
本当は法外な値段で設けているにもかかわらず、少し値引きしてやったんだとばかりに困惑の表情を演技するドライバー達。
数年前がフラッシュバックする。バリ島のガイドが全く同じ表情だったことを。
そしてやっとこさ寝床にありつけると思いきや……。
「ハロー、マアム。あんた誰なの。こんな時間に来てくれたって部屋はないんでございます」。プリティなフロント係りが丁寧に言う。
「No!No! バギオの英語学校の生徒です! ほら、この名前で10%割引予約してあったじゃん? 飛行機が2時間遅れたの」
「……。ソーリー、マアム。予約の名前が1文字間違ってるわ。ともかく部屋はないんです。8人一緒のドミトリーなら空いてます。早朝5時までそこに泊まって貰えたら起こしに行くから、そしたらテレビ付の素敵な部屋に移動してもらえるわ。その代わり、500ペソ追加で2400ペソ払って下さいな」
冗談じゃねえよ! 日本並みの高さじゃん。しかも私の荷物、鍵かけられませんから!
「英語学校の日本スタッフに電話させて下さい。もしくはこの近くに別のホテルは?」
「ソーリー。ホテルの電話からは携帯に掛けられません。周辺にホテルはないし、バスターミナルも11時45分まで開きませんでございます」
ふんがー!!
「おいおい。金より疲れを取ることが大切だろう。他にどんな手段があるというんだい、ベイビー。ほら、払っときな」天があきれている。
1時間前後のすったもんだの末、仕方なく8人部屋に移動する。
すると予想外に、客は私以外に誰もいないではないか。
そこでさらに交渉し、2段ベッド分(2人分)のお金を払うことで、このドミにチェックアウトの12時まで泊まれることになった。770ペソ(約1400円)、これなら許せる。
あ~、これでやっと誰の邪魔も受けず、ぐっすりだわ~。
2段ベッドの下の段で、薄いシーツにうずくまり、爆睡こいた。
ところが早朝4時50分。
ピンポーン! 部屋のベルで起こされる。
「ハイ、マアム。お客が一人来たの。ご一緒いいかな?」
ど、どうじょ……。
男案内係りは、ベッドが4つもあるのに、何故か私の隣ベッドにシーツを敷き始める。
な、なんでやねん。わしの荷物、鍵かけてないゆうてるやんけ……。あっちあんなに空いてるやんけ。
もう知らん…ぞ。わし、寝…る。
洗面所から客の物音がする。
朝9時に目を覚ますと、隣はもう無人だった。
も、もう?!
そして外からはザッーという大音量。まさか雨?! 傘ないし!
部屋には窓がないのでドアを開けると、廊下に掃除道具が置いてある。
乾燥機の音か何かかも? 昨日からろくなもの食べてないし、思い切って早めにチェックアウトするか?
一か八かで荷物をまとめ階段を下りると、窓の外、目の前に、雨降りのバスターミナルが見えた。
ホテルを出るとタクシー引きの青年が笑顔で声を掛けてくれる。
「ハロー、マアム! タクシーかい?」
「いや、バスなんだ。フィリピンは毎日雨なの?」
「今はレイニーシーズン(雨期)でね、almost(だいたい)さ」
青年は困ったように微笑んだ。
「どうだい、昨日からのゲーム。だけど差し引きゼロになったじゃないか」
天だか神だか大いなる力か隣の誰だかが楽しんでた。
つづく
出国前日
出国前、最後のブログだぜっ。
あと20分後、18時にはヤマト運輸さんが、ネット休止のためのモデムを引き取りに来る。
今日は朝から荷造りでヘロヘロだ。
なんとか後はバックパックにぶち込むだけってとこまで整理できた。
軽量化は慣れたものだが、たった1つのある物が、どうしようもなく重い。
軽くすることもできない、持って行くか置いて行くかの二択。
しかも4ヶ月間のアジアの日々には全く関係のない代物だ。
そう、そいつの名は……
ロンリープラネット オーストラリア版 日本語編。
ものすんげー厚さと、
ものすんげー重量だ。
ミニPCより重いんじゃねえか?
いるかこれ?
いるのか?
ああ、神様。
とりあえずセブ・パシフィック航空が無事マニラに着きますように。
あと20分後、18時にはヤマト運輸さんが、ネット休止のためのモデムを引き取りに来る。
今日は朝から荷造りでヘロヘロだ。
なんとか後はバックパックにぶち込むだけってとこまで整理できた。
軽量化は慣れたものだが、たった1つのある物が、どうしようもなく重い。
軽くすることもできない、持って行くか置いて行くかの二択。
しかも4ヶ月間のアジアの日々には全く関係のない代物だ。
そう、そいつの名は……
ロンリープラネット オーストラリア版 日本語編。
ものすんげー厚さと、
ものすんげー重量だ。
ミニPCより重いんじゃねえか?
いるかこれ?
いるのか?
ああ、神様。
とりあえずセブ・パシフィック航空が無事マニラに着きますように。
ネットde図書館! 5冊目「美しいもの」
本屋さんでその本を手に取ったのは、
この夏訪れた高知の山のカフェで、
同じような本を見かけた気がしたから。
開いたら、やっぱり、
カフェで見た本の前編とでもいうべき内容だった。
ものをつくる人たちを、著者が作品ごとに紹介しているその本には、
見たことのある人達も写っていた。
だけど「わあ。そうか」と、一人納得して嬉しかったのは、
箱根で何度か通った和菓子屋さんが載っていたこと。
2009年2月。
お土産を買うお客でごった返す店内。
そこに私はバレンタインケーキを買いに訪れた。
メッセージカードをつけて貰えませんかと聞くと、
店員さんは、
ごめんなさい。カードはないんですよ。でも……と、
わら半紙に色マジック、色鉛筆に筆ペンまで持って
笑顔で戻って来てくれた。
ごったがえす店内の、
ショーウィンドウの隅っこ。
風と光の中で、手紙を描いた。
箱根店では扱っていないケーキを、
小田原店から送るよう手配してくれた。
てんてこ舞いの店内で、
時間のかかる私のような客に、
店の女の子はずっと微笑んで、対応してくれた。
この店すごいって、思った。
忘れられない出来事になった。
そう、その店のオーナーが、
この本に載っていたから。
写真を見て、あぁ、なるほどって思った。
よく知っている空気をまとっている。
このオーナーだから、あの女の子だったんだな。
嬉しかった。
音をたてることなく、
感じたイメージを、
ゆっくりの歩みで、
形にしている人を、
今、とても美しいと思う。
5冊目は、赤木明登さん著「美しいもの
」です。
この夏訪れた高知の山のカフェで、
同じような本を見かけた気がしたから。
開いたら、やっぱり、
カフェで見た本の前編とでもいうべき内容だった。
ものをつくる人たちを、著者が作品ごとに紹介しているその本には、
見たことのある人達も写っていた。
だけど「わあ。そうか」と、一人納得して嬉しかったのは、
箱根で何度か通った和菓子屋さんが載っていたこと。
2009年2月。
お土産を買うお客でごった返す店内。
そこに私はバレンタインケーキを買いに訪れた。
メッセージカードをつけて貰えませんかと聞くと、
店員さんは、
ごめんなさい。カードはないんですよ。でも……と、
わら半紙に色マジック、色鉛筆に筆ペンまで持って
笑顔で戻って来てくれた。
ごったがえす店内の、
ショーウィンドウの隅っこ。
風と光の中で、手紙を描いた。
箱根店では扱っていないケーキを、
小田原店から送るよう手配してくれた。
てんてこ舞いの店内で、
時間のかかる私のような客に、
店の女の子はずっと微笑んで、対応してくれた。
この店すごいって、思った。
忘れられない出来事になった。
そう、その店のオーナーが、
この本に載っていたから。
写真を見て、あぁ、なるほどって思った。
よく知っている空気をまとっている。
このオーナーだから、あの女の子だったんだな。
嬉しかった。
音をたてることなく、
感じたイメージを、
ゆっくりの歩みで、
形にしている人を、
今、とても美しいと思う。
5冊目は、赤木明登さん著「美しいもの
」です。
INTO THE WILD
もし旅が好きなら、おすすめの映画です。
ショーン・ペン監督の「INTO THE WILD」。
何かを見た時、ピンとこないのは、
その作品というよりも、
自分がそこにいないから。
自分が同じ場所にいたら、
土や風や光や匂いを感じられる。
ショーン・ペン監督の「INTO THE WILD」。
何かを見た時、ピンとこないのは、
その作品というよりも、
自分がそこにいないから。
自分が同じ場所にいたら、
土や風や光や匂いを感じられる。
震える声
20時半前、ケイタイが鳴った。
知らない番号が表示されている。
何かの勧誘かとも思ったが、090から始まるケイタイ番号からだ。
(登録消した人からかもしれんしなー)
思い直して電話に出た。
震える声で、見ず知らずの女の子が名乗った。
(? 何? 勧誘? 引きこもり?)
うろたえたが、話を聞くとそうではなくて、私の友人から1週間ほど前にメールを受け、
「ミッションを出す! こいつに連絡しろ」と、私の連絡先を知らされたそうだ。
女の子は新潟の19歳、大学は辞めたという。
ワーホリについて聞きたいとの内容だった。
電話のあと、友人がなぜあんな目をしているのか、解った気がした。
10歳ほどしか違わない、たった1人の女の子と話しただけで、こんなに私に影響があるのだ。
何よりのプレゼントだった。
勇気を出して電話をくれたSちゃん、そして悪戯好きの友人、merci!
震える声が、私を導く。
知らない番号が表示されている。
何かの勧誘かとも思ったが、090から始まるケイタイ番号からだ。
(登録消した人からかもしれんしなー)
思い直して電話に出た。
震える声で、見ず知らずの女の子が名乗った。
(? 何? 勧誘? 引きこもり?)
うろたえたが、話を聞くとそうではなくて、私の友人から1週間ほど前にメールを受け、
「ミッションを出す! こいつに連絡しろ」と、私の連絡先を知らされたそうだ。
女の子は新潟の19歳、大学は辞めたという。
ワーホリについて聞きたいとの内容だった。
電話のあと、友人がなぜあんな目をしているのか、解った気がした。
10歳ほどしか違わない、たった1人の女の子と話しただけで、こんなに私に影響があるのだ。
何よりのプレゼントだった。
勇気を出して電話をくれたSちゃん、そして悪戯好きの友人、merci!
震える声が、私を導く。
私を育てたよさこい祭り 2009
ただいま、高知。
1年4ヶ月の箱根修行を終え、命からがら故郷に帰郷いたしました。
膝を痛めるほどの、まるで戦地から逃れてきたような寂しさに、故郷の空気に慣れるのに今までで1番時間がかかりました。
寮の洗面台で突然顔を歪ませた、母親よりも年上のお姐さんや、
突然の訪問に全ての予定をキャンセルし、別れ際「目障りだ! 早く行け!」と言ってくれた出版社社長のこと。
そうこうしている内に高知はよさこい祭りに突入。
本祭2日目から帰ってきた私は気付きました。
「あぁ、私、踊ったがや」って。
実際していたことは、ただただ2日間、祭りを見ていただけ。
だけど、動くことだけが、踊ることではなかった。
すさまじい集中力で、踊り子と観客とともに、私の内が踊っていた。
見知った顔が地方車で太鼓を叩いている。歌っている。煽動している。聞き覚えのある声、聞き覚えのあるフレーズ。
私はなんで観客側にいるのだろう。何を。
いや、違う。この2年2ヶ月間、走ってきたはずだ。100人が100人認めなくたって、胸を張って自分に誓えるくらい。
広末涼子も初めて見た。しろい。きれい。華奢。
追手筋を踊りきり、地方車の上から皆を励まし続けた。
その昔、1つのチームを見て涙が出たことがあるが、
そのチームを振り付けしていた女性が率いる「ダンスクリーム」。
その隊を先頭切って率いる小倉さんの気迫に、
他の一切を忘れた。
彼は笑顔などという生ぬるいところにはおらず、
鬼が見えた。
言葉が存在しない世界。
観客は踊り子にうちわで風を贈り、踊り子は笑顔を贈り、孫を捜し不器用にデジカメを向ける老夫婦、したたる汗、舞うシャボン玉。
鼓膜が破れそうな轟音の中、言葉を超えた世界が在る。
そんなものに、どうして賞など与えられようか。
予算を掛けて目を引く衣装、音響、地方車、踊りに力を入れたチームは、
例えば楽しそうに踊る養護学校のチームより優れているのか。
そんなことはなかった。
賞はただ、全体のレベルを上げるために存在するのだ。
同じく地方車に乗っているメンツは踊り子よりえらいのか。
そう勘違いしていたのは、誰でもない私だった。
見ている観客、踊り子、地方車、煽動隊、出店、会場スタッフ、メイクも取れたボロボロの取材スタッフ、etc.
8月10、11日。
関わった全員が、この祭りを創り上げる。
私はこの祭りに、育てられている。

ほんとうにおかえり、広末。
1年4ヶ月の箱根修行を終え、命からがら故郷に帰郷いたしました。
膝を痛めるほどの、まるで戦地から逃れてきたような寂しさに、故郷の空気に慣れるのに今までで1番時間がかかりました。
寮の洗面台で突然顔を歪ませた、母親よりも年上のお姐さんや、
突然の訪問に全ての予定をキャンセルし、別れ際「目障りだ! 早く行け!」と言ってくれた出版社社長のこと。
そうこうしている内に高知はよさこい祭りに突入。
本祭2日目から帰ってきた私は気付きました。
「あぁ、私、踊ったがや」って。
実際していたことは、ただただ2日間、祭りを見ていただけ。
だけど、動くことだけが、踊ることではなかった。
すさまじい集中力で、踊り子と観客とともに、私の内が踊っていた。
見知った顔が地方車で太鼓を叩いている。歌っている。煽動している。聞き覚えのある声、聞き覚えのあるフレーズ。
私はなんで観客側にいるのだろう。何を。
いや、違う。この2年2ヶ月間、走ってきたはずだ。100人が100人認めなくたって、胸を張って自分に誓えるくらい。
広末涼子も初めて見た。しろい。きれい。華奢。
追手筋を踊りきり、地方車の上から皆を励まし続けた。
その昔、1つのチームを見て涙が出たことがあるが、
そのチームを振り付けしていた女性が率いる「ダンスクリーム」。
その隊を先頭切って率いる小倉さんの気迫に、
他の一切を忘れた。
彼は笑顔などという生ぬるいところにはおらず、
鬼が見えた。
言葉が存在しない世界。
観客は踊り子にうちわで風を贈り、踊り子は笑顔を贈り、孫を捜し不器用にデジカメを向ける老夫婦、したたる汗、舞うシャボン玉。
鼓膜が破れそうな轟音の中、言葉を超えた世界が在る。
そんなものに、どうして賞など与えられようか。
予算を掛けて目を引く衣装、音響、地方車、踊りに力を入れたチームは、
例えば楽しそうに踊る養護学校のチームより優れているのか。
そんなことはなかった。
賞はただ、全体のレベルを上げるために存在するのだ。
同じく地方車に乗っているメンツは踊り子よりえらいのか。
そう勘違いしていたのは、誰でもない私だった。
見ている観客、踊り子、地方車、煽動隊、出店、会場スタッフ、メイクも取れたボロボロの取材スタッフ、etc.
8月10、11日。
関わった全員が、この祭りを創り上げる。
私はこの祭りに、育てられている。

ほんとうにおかえり、広末。
ネットde図書館! 4冊目「ゲドを読む。」
くる日もくる日も頭と身体を酷使して、
こう言えば人はこう思うだろう。とか、
こう動けばこう反応するだろう。とか、
目標を達成するには考え方をこう変えよう。とか。
そんな時は、南の島のリゾート地でゆっくりしたい、とは思わなくて、
このクーラーのかかった誰もいない宴会場の畳の上で、大の字になって寝れたら、どんなに幸せかと思う。
論理的にだけ考えて動くことの貧しさや苦しさを感じて、
気付けば一年ぶりに箱根湯本の駅前の河原に大の字になって、
この本を3時間ほど読んでいた。
糸井重里プロデュース
「ゲドを読む。」
そこには、驚くほど、自分が考えていたことや、
生きてきた世界のことが書かれていた。
この本は売り物ではないので、自分で探すことから楽しんで欲しい。
枠に収まらないもの、世間の「正しい」とはズレるもの。
居心地はけして良くないそんなものをすぐに判断せず、
ただただ受け容れ続けていると、
別の世界が現れる。
ぶち壊れた優雅な朝
だーーーーっ!
こじゃんち、むかつくー!!
今朝は優雅。のハズだった。
宴会場残りの朝食も早く終わり、あとは午後の準備をゆっくりやって帰れるハズだった。タイムカードを切ってからの作業になるので、早く終わらそう。そう思って、4Fにあがると……。
前日の人がやっておくべき11部屋の夕食準備が何もなされておらず、そこには70歳の大姐さんが。
(おめーまさか今からやんのかよ?!)
タイミング的には最悪。先輩を手伝わずにはいられない状況。
「手伝ってくれるう? グラスと湯のみがないから2Fから上げてくれるう?」
(おめーがやれよ! なんで私が上がり下りしなきゃいけねーんだよ!)
どう考えても前日の人がやるべき仕事。
大先輩といえど手伝うべきではないと考えた私は途中まで手伝ったが反抗し、自分の仕事に取りかかる。
「ちょっと。おしぼりなんかいいから、こっち手伝ってよ~。そんなの午後来てからの仕事でしょ」
(皆いつも午前中にやってんだよ!)
「もー、Kさん何やってんのかしら。まだ1F終わんないのかしら」
『Kさん手伝いにくるんですか?』
「先輩の私が準備してるって分かってんだから当たり前でしょ。甘え過ぎだよ」
(はあー? Kさんは絶対手伝いにくるタイプだよ。)
「じゃあSちゃん、あと醤油お願いね~」
醤油入れはもちろん昨日の夜のうちに姐さんがやるべき仕事である。
前日の夜にやるべき仕事を、翌日他人にまかせ、姐さんはいってしまった。
(おめーが一番甘えてんのが分かんねーのか! その仕事を引き継ぐ人に迷惑かけてんじゃねーよ!)
仕事しない社員とわがままババアは早く上がれ!
邪魔なんだよ!
旅館の朝の仕事は6時出勤で早い、長い、疲れる。
低血圧の私は久しぶりに吠えた。
ほんとにあんなババアを光熱費無料で寮にかくまってやる必要なんかねえよ!
害なんだよ、おめーはよ!
こじゃんち、むかつくー!!
今朝は優雅。のハズだった。
宴会場残りの朝食も早く終わり、あとは午後の準備をゆっくりやって帰れるハズだった。タイムカードを切ってからの作業になるので、早く終わらそう。そう思って、4Fにあがると……。
前日の人がやっておくべき11部屋の夕食準備が何もなされておらず、そこには70歳の大姐さんが。
(おめーまさか今からやんのかよ?!)
タイミング的には最悪。先輩を手伝わずにはいられない状況。
「手伝ってくれるう? グラスと湯のみがないから2Fから上げてくれるう?」
(おめーがやれよ! なんで私が上がり下りしなきゃいけねーんだよ!)
どう考えても前日の人がやるべき仕事。
大先輩といえど手伝うべきではないと考えた私は途中まで手伝ったが反抗し、自分の仕事に取りかかる。
「ちょっと。おしぼりなんかいいから、こっち手伝ってよ~。そんなの午後来てからの仕事でしょ」
(皆いつも午前中にやってんだよ!)
「もー、Kさん何やってんのかしら。まだ1F終わんないのかしら」
『Kさん手伝いにくるんですか?』
「先輩の私が準備してるって分かってんだから当たり前でしょ。甘え過ぎだよ」
(はあー? Kさんは絶対手伝いにくるタイプだよ。)
「じゃあSちゃん、あと醤油お願いね~」
醤油入れはもちろん昨日の夜のうちに姐さんがやるべき仕事である。
前日の夜にやるべき仕事を、翌日他人にまかせ、姐さんはいってしまった。
(おめーが一番甘えてんのが分かんねーのか! その仕事を引き継ぐ人に迷惑かけてんじゃねーよ!)
仕事しない社員とわがままババアは早く上がれ!
邪魔なんだよ!
旅館の朝の仕事は6時出勤で早い、長い、疲れる。
低血圧の私は久しぶりに吠えた。
ほんとにあんなババアを光熱費無料で寮にかくまってやる必要なんかねえよ!
害なんだよ、おめーはよ!