Hatis Noit & Yuma Kishi
ハチスノイトは2度見たことがある。

一度は教会でのリリイベで、病の美女が徐々に蝕まれカウントダウンで死ぬ、というような内容の朗読で終わるアルバムでそのライヴは心地よい緊張感がありかなりよかった。

2度目は横浜でハチスノイトの関係者が主催のフェスだったがその時はまあまあ微妙であまり面白くなかった。

なのでハチスノイトは面白いかもしれないが警戒のいるアーティストとして認識している。

そういうわけで少し遅れていったが意外と良かった。

前回見た時がバンド編成だったのでそれってmutekとしては異色では?とさらに警戒したのだが今回は打って変わってほぼアカペラ。

それもソロでマイクを2本使ってリアルタイムでフレーズを重ねていくもので、想定外にmutekらしい感じになっている。

歌声からはオペラ感のある強さを感じたので最初クラシック畠の人かと思って聴いていたのだが今調べたところ雅楽や演劇の経験があるらしい。

歌声もかなり伸びやかでポップとは一味違う。

なので声のひとつひとつが強く、さらにそれが多重に重ねられていくので存在感がすごい。

マイクが2本ある理由はわからないが多分、別々のインプットでそれぞれ違うエフェクトをかけていたのかもしれない。

基本的に全て歌声で構成されていたが1曲だけ例外があった。

ラスト曲でキシユウマ氏が映像でコラボした作品でこの曲だけは他とは違いアカペラ以外にノイズが使われていた。

この曲は311以後、福島の出身者の帰郷が解禁になった時に招聘され披露した曲らしいのだがそのノイズは当方の聞く限り津波を連想されるもので、なんてものを当事者の前で披露してんの?と突っ込みたくなった。良い曲だったけど。

映像はAIを使ったもので、当方の脳内ではAIの映像≒モーフィングでありこの作品もその例にもれなかった。

ダンス映像をモーフィングしたものだがまあAI感は普通にあった。

常にAIを使うよりも要所要所で混ぜたほうが面白い映像になった気がする。

普段は聴かないタイプの音楽でクオリティも高かったし観れて良かったと思う。

Sakura Tsuruta & Myriam Boucher
確か一昨日はドローン作品を披露したミリアムブーシェーが今度はテクノセットを披露。

クオリティは高いし安心して聴けるのだがどこか教科書じみたところがあった。

高音で浮遊感を聴かせてからキックで低音を強調する、キックを外すと同時に低音を含むパーカッシブなリフを鳴らしそれを外すと同時にまたキックを入れるとかしばらく低音だけにしてから徐々に高音域を入れていくとか、教えられた内容を丁寧になぞったような印象を受けた。

実際にそういう教えられ方をしてるのかどうかは知らないがDTMスクールに通った経歴がありそう。

良くも悪くも優等生なテクノセットだった。

映像はアブストラクトなものであまり印象には残らなかった。
 

Pantha du Prince
ボスキャラ感のあるテクノとアブストラクトなVJ。

このアーティストは知らなかったのだが展開がうまく大物感があった。

最初は低音のみで控えめに始めて次にキラキラした高音を聴かせる。そこに徐々に低音を加えて盛り上げて段々空間が音で埋められていく。

こなれている感じがありどうやればリッチな感じになり盛り上がるかがわかっているように見える。

すごい。

ただ1時間経過したあたりで少しダレたのか5分から10分くらい同じループのままなんの展開が見られない箇所があり、そこで飽きてしまった。

何の変化もないループは基本的に16小節を超えてはいけないと思っているのだが当方がおかしいのだろうか。

しかしその後の展開は調子を取り戻した感じでフロアは大いに盛り上がっていた。

映像はキラキラしたテクノに寄り添うようにキラキラしたアブストラクトなものですごく雰囲気が合っていた。

朝から昼そして夜、それで星空、みたいに展開していく様子が良かった。


Pheek & Manami Sakamoto
今年のmutek_jpのオオトリ。

スタンダードなアングラテクノにノイズをベースにしたVJ。

基本的にドラムとベースだけ(ドラムンではない)のストイックな編成でミニマリズムのような音並びだった。

丁寧に音作りされたキックとベースが綺麗に補い合って聴いていて心地いい。

展開も地味ながら常に変化し続け飽きさせるところがない。

フックや目立つ特徴は感じづらいが確実にフロアを盛り上げていくプレイ。

映像はノイズをベースにしながらも地図や草木を感じさせるシルエットを形成してそれが何かがわかる前に次に形に変化を始める捉えどころのないVJ。

ある時は広いスクリーン全面に展開し演者二人をシルエットにしあるときは額縁にはめられたかのようにのように三つ横に並べられ動く絵画のように見せる。

それが美術館のような雰囲気があり、それでいながら骨太なテクノが響いているという不思議な空間だった。

いずれもクオリティが高くmutek_jpのオオトリを飾るのにふさわしいセットだった。

 

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