出版社、キャッシュが減り、きまぐれなベストセラーにより破たんに向かう仕組み | どうしたら僕たちはヒルズの住人になれるのだろうか?

出版社、キャッシュが減り、きまぐれなベストセラーにより破たんに向かう仕組み


どうしたら僕たちはヒルズの住人になれるのだろうか?(^.^)2009年夏、次の本を書いています。-出版社の財務バランス
ゴマブックス(旧社名が 株式会社ポケットブック社、ゴマ書房とは無関係)
が事実上破綻した。
もっとも9月7日の民事再生だから
いずれ営業を再開するらしい。

出版社は回収までに半年ほどかかり
キャッシュがなかなかはいってこない仕組みになっている。


上の図の財務・貸借のバランスがそうだ。
最初は売掛が少ない分、現金預金が多いが、
しだいにこのバランスは逆転する。


現金・預金の額は減少の一途をたどる。

もちろん出版社といっても日販、トーハンへの出資会社は
回収期間が短く、優遇されている。


講談社、小学館、集英社、角川書店、学習研究社、ポプラ社、新潮社、旺文社

光文社、文藝春秋、秋田書店、平凡社 などが出資者で

取次先ごとにそれぞれ

その恩恵にあずかるが


新興出版社は大手でもそういうわけにはいかない。


つまり、出版社はキャッシュが減る仕組みなのだ。


たとえば毎月1億円の売上げの出版社なら

自己資金が6-7億円あればいいが、

なければ借入に頼らないと、途中の資金繰りがつかない。


なぜなら、出版社開業から半年あまりはどれだけ売れても

回収がないからだ。


ところが

この毎月1億円の売上げの出版社がベストセラーを出し

15億円の売上げを単月であげた場合、必要運転資金は

6億円からいっきょに20億円にふくらむ。


これは資産勘定の流動資産がふくらむことを意味するから

そのぶん 貸方、いわゆる資金の調達をしてこないとバランスシートはつりあわず、

会社は資金繰りに困り破たんする。


だから、手形を振り出すか、借入するかになる。


ところが、出版社と言えども中小企業。

15億円の借入を無担保でさしだす銀行は少ない。


有担保で15億円とは15億円の土地とか株式とかを

ひもつきでなく、

もっていることを意味する。つまり金持ちが出版社の社長ならいいのだが、

そうとばかりはいってられない。


かくしてベストセラーのだしかたによっては、

資金繰りは破たんする。


でもベストセラーを5月に出そうと考えてもそんなことは不可能。


予測などできないのだから、

経営は多難をきわめる。

ベストセラーを出しても売掛金が多くなり、しかも長期化するので
ダメで

恒常的に変わらない売上げでいかないと
経営はうまくいかない。


かくして売掛金がキャパ以上に肥大化、破たんする。
でも破たん時にブランドであるか、顧客獲得の仕組みができている出版社なら
民事再生で支援をうけ、再生という道が残されている。


債務の減免もあるし、

この方法が、今の段階ではもっともよい解決策だと思うのだが。






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