津本陽の「天翔る倭寇」を読みました
津本陽の「天翔る倭寇」(上・下)を読みました。時代物というか、むしろ冒険物に近いと思います。時代は中世。まだ徳川が天下を取る前で、日本はまだ鎖国をしておらず、海外から様々な物資が流入していた時代。明の海賊の親分と親しくなった日本人たちがやがては中国奥地の金山を目指すという内容です。残忍さと優しさの両面を持ち合わせた倭寇の姿が、とても人間らしく映るのです。一方では敵対する海賊や、明の官軍を執拗なまで に追い詰め、逃げる敵をも殺し、村を攻めては略奪を行うという「悪」の面がある一方で、戦う力を持たぬ婦女子が犯されそうになったら助け、官軍に拷問されている村人がいれば助け出すという「善」の面も持っているのです。人は善と悪の入り交じった実に不思議で複雑な生き物なのです。本能のままに営む動物たちとは違うのです。それが、人が人である所以なのでしょうか。そんなことがよく分かる物語でした。