岩盤浴へ行った



近所にあるのだが、

近所ゆえなかなか行かなかったのだ



岩盤浴では専用の服を着る

飲み物を買うには小銭が必要だが

専用着には ポケットがひとつ もひとつたたいても やっぱりひとつ

汗もかくし、むき出しの小銭をそのポケットに入れるわけだ


そこで事件は起こった!


岩盤浴で汗を流しきったボクはアイスクリームを買おうと思い

小銭の入ったポケットに手を入れた・・・

やれやれ、お金を失くしたらしい




やれやれじゃないよ!

金なくしたんだよ! 全財産! 700円!

どーすんだこの渇き!

喉の渇きがとっさに心の渇きに変換されたぞ!



見るとポケットに穴!

さっき行った岩盤は砂利! 

落としたならそこ!

見つけれるわけなし!

葉を隠すなら森!

小銭隠すなら砂利!



ところが、奇跡が起こった

(奇跡とは奇跡然したものだけではないことを覚えておいて下さい)



ボクはアイスクリーム屋の前でまるでわざとのように説明的なセリフをはいた

「金が無い。ポケットに穴が開いてる。さっきのとこで

落としたんだ」

そして一歩踏み出したボクに親子のなりをした天使があらわれた



「お父さん、これ落ちてたんだけど」

と小銭を手の平に載せてる小学生(のなりをした天使)

すかさず私は「それボクのです!」

と穴の開いたポケットを見せ、礼を言って受け取った



1分後、さやえんどうはアイスクリームで喉の渇きを癒していた

しかし、彼の心の渇きは癒されていなかった

いや、かえって渇きがいや増していたのだった

「よくあの親子、オレに小銭渡してくれたよな

なんかオレ詐欺師みたいに思われてなかったかな

いや、アイスクリーム屋がオレの説明的なセリフを

聞いているにちがいないからセーフのはず

お礼に100円渡すべきだったかな

礼儀しらずなオレ、ブツブツ・・・」

と、心の中のオレ達でどネガティブな反省会を開催するのだった。




と、いうわけで、拾ってくれた方に改めて

「ありがとうございました」





さやEND