調停室に息を切らしながら入ってきたS弁護士。
いつも冷静な彼女がこんなに必死になっているのを見てびっくりした。
『どうしたんですか?不成立に問題がありましたか?』と聞くと、
S弁護士『ハルさん実は、先ほど裁判官の所へ行って不成立の話にしようかとしたんですが・・・』
真剣な顔でS弁護士はわたしにこう告げた。
S弁護士『裁判官からの提案なんですが、今日、離婚と親権だけの成立をしたらどうか?とのことなんです。相手方が離婚と親権は承諾している今がチャンスかもしれません。のちのち離婚しないと言ってくる可能性もありますし。』
わたし『えー---裁判官からですか??離婚と親権は確かに出来るならしたいですが、養育費などはどうなりますか?』
S弁護士『養育費等の調停は別で行う予定です。ただ、慰謝料は難しいかもしれません』
不成立の話をしに行って離婚だけしましょうなんて裁判官もよほどわたしとⅮを切り離したいようだ次々といちゃもん付けてくる相手には今出来ることをした方がいいもんね
わたし『わかりました。そうしましょう!』そういうとS弁護士は急いで部屋から出ていった。
・・・離婚できる。でもまだまだ戦いは続くだろう。なんだか不思議な気持ちだった。きっとこの前の事件で私に対しての怒りで離婚したいと言ったのだろう。
しばらくして、S弁護士、調停委員さん、裁判官が部屋に入ってきた。
緊張する~
裁判官『双方の同意で本日付で離婚が成立したこととする。子供三人の親権はハルさんです。よろしいですか?』と落ち着いた声で宣言する。
わたし『はい。それで大丈夫です。』
裁判官『では本日付で離婚が成立したこととします。』そう言って部屋を退出していった。
裁判官忙しそうだな。それにしても急展開すぎて頭が混乱していた。
わたし『こんなことあるんですね~』と言うと
S弁護士『こんなこと異例だと思います。普通は全部決めてから終わらせるので。弁護士さんもハルさんの危険を考えて今できることをしようと思ったんでしょう』
異例なんだなんかすごい体験したのね。
すると二人の調停委員のうち女性の方が『離婚できてよかったですね。あとは養育費などですが頑張りましょうね』と優しく声をかけてくれた
そして男性の調停委員『いや~大変な相手でしたよ。もう二度とあの人とはしたくないですね(笑)』おいおい。正直にもほどがありますよ
しかし養育費の調停委員もしなくてはいけないのでため息をついて部屋をでていく男性調停委員・・・大丈夫かな?
とにかく・・・・!!離婚だけは出来た!まだ届は出していないけど確実に今日から他人なのだ
帰ってから子供たちに報告すると、子供たちもママ頑張ったねと抱きしめてくれた
その夜。久しぶりに薬なしで寝れたのだった。