第184夜♪~Crossover Night 8~ | IN THE MOOD~MJ's Bar~

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シャイなマスターMJの思う事や好きな音楽など、気ままに書いていきます。
どうぞ、ごゆっくり…

こんばんは





今夜も素敵なひとときを♪…










IN THE MOOD~MJ's Bar~



Relax and enjoy these special moments...







Azymuth "Fly Over The Horizon"







Roberta Flack "Uh-Uh Ooh-Ooh Look Out (Here It Comes)"










僕と例の彼女はあの"事故"がきっかけとなり

何度かデートを重ね、そして付き合うようになった


僕は全く知らなかったのだが、彼女は少しだけ名の知れたコピーライターであり

雑誌やCMでそこそこ知名度があるフレーズも実は彼女のものだそうだ

彼女はそういった業界で仕事をしてる事もあって、僕よりも多忙な生活を送っている

そんな中でも彼女は、時間を作っては僕と過ごし尽くしてくれていた

聞くところによると、彼女はここ数年大きなコンテストに参加しているそうで

そのチャレンジも今年で3回目…

今日にもその結果が届くらしい



電話が鳴った

彼女からだ


「もしもし…」


「どうした?元気なさそうだけど…」


「先日のね、結果が来たの… 私ね…」


「うん…」


明らかに彼女の声のトーンが低い…

今回もダメだったのか?

毎年、このコンテストに賭けていただけに、どう慰めてあげようか…

そんなことが頭の中を過った


「今回のコピーはね、今までで一番自信があったの…」


「それで…どうだったの?」


僕は恐る恐る聞いた


「今回の結果はね…」


「う、うん…」


不思議と僕が彼女よりも緊張していた


「やっとね、私のコピーが採用されるの!あの○○電機のCMによ♪」


「○○電機って、今一番勢いがある企業だよね。遂にやったなぁ、おめでとう! もう、その様子だとてっきりダメかと思ってたよ」


「ふふっ、ちょっと驚かせたくてね」


「もう、ビックリさせるなよ~ じゃあ、今夜はお祝いだね♪ いつものBarで待ってるよ」


「うん。もう少しで仕事が終わるから待っててくれる?」


「OK!待ってるよ」


「じゃあ、また後でね!」





この時の僕は、二人で歩いてきた道が少しずつ狂いだしてきているとは全く気付いていなかった…












鈴木 雅之 "ガラス越しに消えた夏"










以前にもまして彼女は忙しい身となり、会えない日々が続いた

メールは幾度と無く彼女に送っていたが、彼女からの返信も2~3日遅れなのはざらだった

余程の忙しさなのだろう…

せめて一声だけでも励まそうと思って、何度も彼女に電話しようと思ったが

いつも発信ボタンを押す直前で指が止まってしまっていた…

仕事に取り組む彼女のストイックな一面を知ってるだけに、邪魔するのは悪いと思っていたからだ



正直、僕はとても寂しかった…

その寂しさを紛らわすかのように僕は深夜の高速を飛ばし、彼女とよく行ってた海へと向かった

車を降りて、彼女との思い出を噛み締めるように一歩一歩砂浜を歩く…

僕は沖に灯台が見える二人のお気に入りの場所に座り、波のささやきと共に景色を眺めていた



しばらくして、僕は遠くに人影を見つけた

俯き気味に歩く見覚えのある後姿…

僕はゆっくり彼女の元へと向かった…

彼女も僕に気付き、ゆっくり歩いてくる…


僕は駆け出して、そして思い切り彼女を抱きしめた


「あのね…」


僕の胸の中で彼女が呟いた


「私と…別れて欲しいの…」


「……」



その瞬間、僕の全ての時間が止まった…



全てが真っ白な世界の中、夜明け前の冷めた空の色だけが僕の脳裏に焼きついていた…












稲垣 潤一 "夏のクラクション"











「どうして…」



僕はそう言うだけで精一杯だった…


「あなたの事は大好きよ。私だってあなたを失いたくない! でも、ずっと前からの夢が今、叶えられようとしてるの…」



そう言うと、彼女はずっと僕の胸の中で泣いていた

あのクールな彼女がここまで表情に出すとは…

そんな彼女を抱きしめながら、ずっと考えていた


僕は彼女に甘えていたのかもしれない

彼女は僕以上に悩み、苦しんできていたというのに…


そう思うと、僕は自分がとても情けないと思った

彼女の涙をそっと拭って、僕は意を決して重い口を開いた…



「わかったよ… 君の夢が叶う事を僕は心から応援してる」


「うん… ありがとう…」


「君の事はずっと忘れない。愛してる…」


「私も… 愛してる… あなたも… あなたの夢を捉まえてね」


「うん… いつかまたここで逢おう。笑顔で逢いたいからサヨナラは言わないよ」


「じゃあ、その時まで…ね」



波間で手を振る彼女を幾度と無く振り返って見ながら、僕は少し足早に歩き出した

溢れ出る感情を抑え切れなくて涙が止まらない…



僕の夏が終わった…





8月31日



僕は毎年この日にあの海へと車をを走らせる


気が付けば、あれからもう2つの夏が過ぎ去ろうとしている…

やっぱり今年も僕は一人のままでいた





そんな8月の終わり… 今年もこの海で君を想ってる…













Azymuth "Outubro"





Good Night...