DH side
空港は、記者とか見送りのひとたちであふれていた。バイクでよかった。車だったら、停められなかったかも
そんな中。真っ白なリムジンが現れる。降りてきたのは、イトゥク皇太子だ。眩しく見えるのは、フラッシュのせいだけじゃない。SPに先導されて歩きだすと。自然と道が開かれる。オーラ、ぱねぇ...
いや。びびってる場合じゃなかった。ひとの流れに逆らって。ヒョクチェくんを探す。同じ車ではないにしても。近くにいるはずだ。もしかしたら。VIP扱いかもしれないけど...きょろきょろと見回していると。いた...執事のキュヒョンさんが。でかくて助かった。隠れるように。ヒョクチェくんの、まあるい頭が見えた
『ヒョクチェくん!』
届くかわからないけど。声をはりあげる。ヒョクチェくんの頭が。ぴたっと止まって。ふわふわと揺れる。これだけのひとだ。ヒョクチェくんからは。こちらが見えないかもしれない。名が知れてないとはいえ。何度も呼ぶのも気が引けた。一心に見つめていると。まぁるい頭がふんわりと回る。ぱっと。目が合った。間違いなく。きれいな形のアーモンドアイが。きょろっと見開かれる
『待ってるから!』
握りしめていた手紙を大きく振る。届いたかどうか...確認する前に。キュヒョンさんの。大きな身体に遮られてしまった
《つづく》