東李が人狼だと知ったからって。何も変わることはなかった。部署が違うから。しょっちゅう会うわけでもないし。相変わらず爽やかで。ヨジャ社員にモテて。仕事もできて...


完全に獣体になることもできるらしいけど。そんな簡単に、ころころ変えられるわけでもないみたいで


《俺は人型で産まれたし》


ずっとそれで生活してるから。こっちの方が楽と言えば楽かな。そんなもんか...知らない方がいいって。あまり詳しくは教えてくれなかった


《うちにもいるよ》


誰とは言えないけど。うちって...社内ってこと?うん。まじか...だから気をつけてね。五感、するどいからさ。文字通り、嗅ぎつけられたら大変なんだ。お、おぅ...



その日は外回りをしていて。取引先の工場で、担当者と立ち話をしていた。あ...仕事用のスマホに、見慣れない番号からの着信。誰だろ...よぼせよ?


《宰!良かった!出てくれて!》


東李!?宰のスマホ鳴らしても。全然、反応ないから。あ、わりい。いま、出先で...がさこそと。自分のスマホをさぐる


《建物の中?だったら早く外に出て!》 


外?何で?東李の言葉が。うまく飲みこめない


《早くっ!》


外って...急かす声に。窓の方に目をやったとき。閃光が走った。次の瞬間。爆音と爆風に、吹き飛ばされていた




《つづく》



※きのーの更新です