※これがあまりにもあまりにもだったので( ´艸`)

 

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HK side

 

 

僕は。天使を見たことがある

 

誰にも話したことはないけど

 

まだ幼いころ。理由はわからないけど。両親とはぐれてしまって。ひとりで、泣いていたときだった

 

『どうしたの?』

 

やわらかい声に。顔を上げると。やさしく微笑む、ヒョンニムがいた。ふわふわの髪。大きな瞳。透き通るような肌。どこか...見覚えがある気がして...

 

『お...ま...あ...ぱ...』

 

泣きすぎて。うまく言葉にならない。でも...そう...よくがんばったね。頭をなでてくれて。その途端。すっと、なみだが退いて。身体のすみずみまで。何かに満たされる気がした

 

『おいで』

 

僕が。連れてってあげる。差しだされた手が。ぼやっと、光りかがやいて。何の疑問のなく、握りしめた

 

 

『アガ!』

 

どのくらい、歩いただろう。不思議と。疲れはなくて。オンマ!僕とおなじくらい、泣き腫らしたオンマが。僕に気づいて。ころがるように、駆けよってきた

 

『良かった...無事で...』

 

おんまぁ...がっつり抱きしめられて。止まったはずのなみだが。また、あふれた

 

『大丈夫?けがはない?』

 

あわただしく。あちこちをさする。ん...だいじょぶ。ひっく。あのね...

 

『あのね。ヒョンニムが...』

 

ヒョンニム?あれ...ふりむくと。一緒についてきてくれたはずの、ヒョンニムは。どこにもいなかった...

 

 

再会は。意外と、はやく訪れた。アッパに連れられて、訪れた教会で。壁に飾られた。マリア様を見守る、一体の天使。まるで。いまにも動きだして。あの日とおなじように。微笑みかけてくれそうで...見覚えがあるとおもったのも、当然だ。ずっとずっと。そばにいてくれたんだから

 

それから。つまらなかった日曜礼拝も。率先して行くようになった

 

教会に行けば。ヒョンニムに会える。その一心で...

 

 

『そうね...その本だけど。大学の方にあるみたい』

 

しかも、書庫に。そうですか...先生に頼まれて。図書館で、古い資料を探していた。頼んでおくから。また来てくれる?いえ...可能なら。自分で探します。そう?じゃぁ。連絡しておくわね。ありがとうございます

 

付属の大学は。高校と隣り合わせだった。図書館に立ち寄って、書庫の鍵を受け取って。場所を教えてもらった

 

時が止まったような。重い扉を開ける。ほこりっぽい空気に。あまり息をしないように。先へ進んだ。いくつかの棚を過ぎたとき。そのすき間から、見えた光景に。目をうたがった。窓際に。あのときのヒョンニムが。僕とおなじ制服を着て。腰かけていた。日差しのカーテンをまとって。ゆっくりと、ページを繰っている。あ...あの本...

 

『誰?』

 

僕に気づいて。顔を上げた。やっぱり。やわらかく微笑んで...あの...

 

『その本を。さがしてて...』

 

これ?持っていた本を。顔の横に掲げる。こくこくとうなづくと。そう...パタンとその本を閉じて。舞うように、床に降りた。一歩。二歩。僕の方へ。近づいてくる。足音も。ほこりも立てずに...

 

『さがしてたのは...それだけ?』

 

え...本の代わりに。小さめの手が差しだされた。あの日のように...光を放って

 

 

 

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※いま、7、8本くらい並行でかいてるらしぃ(~_~;)←ほぼヘウン

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