リョウク side

 

 

 

キュヒョンは、ずっと浮かない顔をしてたけど。僕らを乗せたトゥクトゥクは。間違いなく、予約していたホテルにたどりついた

 

『はぃ。着いたよ』

 

スーツケースを降ろして。フロントまで運んでくれて。チェックインの、手伝いまでしてくれた。途中から。英語が話せるキュヒョンが、やってたけど。もちろん、お金は請求されなかったし。用意したチップも。受け取ってくれなかった

 

『それよりさ。何かあったら、また呼んでよ』

 

ガイドも、レストランの予約でも通訳でも。観光がらみなら何でもやるし。飲んでなけりゃ。24時間、いつでも駆けつけるから。ひらひらと手を振る

 

『ほんとに、ありがとうございました。助かりました』

 

あ...そういえば...リュックの中に。インスタントラーメンがあったはず...

 

『あの...もし良かったら...これ...』

 

がごごそと、リュックをあさって。あわてて差しだすと

 

『え!まじで!いいの!』

 

それはもらう!にっこりと。目元に皺をよせて。ごめんね。こうゆうの、飢えててさ。こっちも辛いのあるけど、やっぱりちょっと違って...

 

『今日の昼飯は決定だ』

 

うれしそうに。頬擦りをする。ふふ。子どもみたい。じゃぁ。良い旅を。走り去るトゥクトゥクに。手を振っていたら。後ろで。キュヒョンが、大きくため息をついた。何さ

 

『お前...無防備すぎるぞ』

 

そう?

 

『ちゃんとホテル着いたじゃん』

 

そうだけどさ。もぅ...心配性なんだから。はぃはぃ。わかりました。荷物置いて。シャワー浴びて。ビール飲み行こうよ。いい場所、さっき教えてもらったし。まだ、何か言いたげな。キュヒョンのリュックを、ぐいぐいと引っ張った

 

 

《つづく》

 

 

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