ヒョクチェ side



『ほら。これ食え』


キム部長が。ドンへの皿に、焼けた肉をのせる。臆せず、その肉を口に放りこんで。もぐもぐと、咀嚼して。うまいか。はぃ!そうか。もっと食え


《うまい中華の店を予約してある》


はずが...連れてこられたのは焼肉屋で。うまいし。奢りだからいいけど


キム部長は、ドンへが気に入ったらしくて。となりに座って。あれこれ世話をしてくれて。ドンへも。どちらかとゆーと、人見知りするほうなのに。すっかり部長に懐いている


ジョンスヒョンが、楽しそうに


『すっかり、仲良くなっちゃって』


はぁ...喜んでいいのか...


『びっくりしたよな』


俺のグラスに。ビールを注ぐ。まぁ...まさか。ヒョンと部長が、知り合いだったとは...


『配属になってからさ。前職が、こいつの会社だって知って。聞いてみたんだよ』


お前、履歴書に書いただろ。名前はありきたりだけど。そんなおもしろい顔、ざらにいるわけねぇしな


『だからって。贔屓してるわけじゃねぇぞ』 


仕事はきっちりやってくれるからさ。助かってんだ。部長...


『ヒョクはかっこいいよ!』


肉を口につめこんだまま。何だよ


『惚れた弱味かよ』


ドンへの顔をのぞきこんで。あれが格好いいなら。俺様はどうなんだ?


『んーと...美人さん!』


ひゃっひゃっひゃ。かわいいな。こいつ。よし。韓牛、注文してやる!やったー!ちょ...


『部長!』


心配すんな。けけっと笑って


『経費で落とすから』


『落ちません!』



《つづく》


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