ヒョクチェ side



人影があるのを確認して。店のドアを開けた


『いら...』


振りむき様に。言いかけて。何だ、お前か...へへ。俺です


『はい。食べますよ』


カウンターに皿を並べる。何だよ、頼んでないぞ。俺のおごりです。奢られる筋合いはない。俺にはあります


『こないだは、ありがとうございました』


こないだも...かな...あぁ...


『ほどほどにしろって、言っただろ』


あの日は。そんなに飲んでないですよ


『何か...ふたりの声、聞いてたら。眠くなっちゃって...』


俺らの声は、子守唄か。ふふ。ほんとにふたりとも。いい声してるんだ


『それにしても...多くないか』


ビビン麺がふた皿に。タンスユク。俺も一緒に食べますから。何でだよ


『キュヒョンとは、よくそうやって食べるんです。キュヒョンの店で。ペダルついでに』


へぇ。仲いいんだな。まぁ...ほら。食べて下さいよ。はぃはぃ。ビビン麺をよく混ぜて。箸に巻きつけて...


『リスみたいだな』


へ?ほっぺた、膨らませてさ。ぷくって。そーゆって。自分のほっぺたを膨らませてみせる。ふふ。このひと。けっこー、かわいーとこあるじゃん...




《つづく》


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※ぎゅセンイル