『お前は疫病神か』
楼閣の主人、鬼神の旦那が。呆れたように、笑った
それは。俺が楼閣に戻った、その日に起こった
まだ、目立ぬ方が良いと。光海の君の部屋付きから外されて。裏の仕事に戻っていた
『そんな客、知らないね!』
旭星の君の、けたたましい声が響いた。何事...?。見かけたひとが、首を振るから。隙間から、こっそりのぞいた。そこには、見慣れない男が坐していて。旭星の君の剣幕にも、動じずに
『まぁまぁ、旭星。晴の肝入りなんだから』
よほどの上客なのか...鬼神様が宥めるが。晴様が何だってのさ!
『客を引いてくるなんて。お門違いじゃないか!』
旭星の君の怒りは、一向に収まらない。そのとき
『旭星』
黙っていた男が。切れ長の目を細めて。すっと旭星の君を見上げた。俺を客扱いせずとも良い。その代わり...
『お前を身請けさせてくれ』
え...旭星の君が絶句する。そ、そんな戯言...急に声音を弱めて
『一年も...音沙汰なしで...』
あっという間に。旭星の君の目に、涙が充ちる
『すまなかった』
あのときは...俺は何もできなかった...だから
『お前を請け出す、金も地位も手に入れた』
ただし...
『金を納めたら。俺は無一文よ』
ふふ、と。口の端を歪める。それでも。俺についてきてくれるか。浮雲様...ようやく、そのひとらしき名をつぶやいて。旭星の君が、板の間に崩れ落ちた。その肩に。浮雲と呼ばれた男が、やさしく手をかけた
《続》
※楼閣主 鬼神→シンドン
※浮雲→イェソン
@superjunior
※画像お借りしましたm(_ _)m
※本日のラインナップ