ヒョクチェ side


『あー。疲れた』

ドンへが。大きく伸びをする。ふわぁぁ...あくびもついでに。朝から、お菓子会社のイベントで。限定チョコの、サイン入りお渡し会をやって。バレンタインなのに。オトコの方が配るとか、よくわかんないけど。でも。急遽、整理券を配るほど。行列ができてたし。そこそこ高いチョコが、よく売れて

『ねぇ。今日、バレンタインじゃん』

あぁ。今さら、何だよ。事務所に届いた分は。シウォンさんの分と合わせて、懇意の施設に寄付することになっていて。そのために。ふたりは普段から、一言つけ加えている。ソンムルは嬉しいし。ありがたいけど。どうしても余る分は、寄付させてもらいたいと。それを知って。最初から、ドンへの名前で寄付をするペンたちもいて。すごいよな...

『ねぇ。チョコは?』

チョコ?イベントでもらったやつが、カバンに入ってるけど...

『そうじゃなくて!』

何だよ。腹へってんのか。ちがう!おい...クルマん中で、じたばたするな...盛大に眉毛を下げて

『ヒョクからの...チョコがほしぃ...』

はぁ...?

『何でだよ』

バレンタインだから!だから何でだよ。だって...

『バレンタインだから...』

口をとがらせて。バックミラー越しに。上目づかいで。こんなことで。ふくれっつらになるかよ。これ以上、チョコがいるか?定番から、レアものから。あらゆるチョコをもらってんのに...

『とにかく...ないもんはない』

返事はなかったけど。どうせ拗ねてるんだろう。相手をするのが面倒になって。だまってハンドルをきった



《つづく》


@navernow
※画像お借りしましたm(_ _)m
※バレンタインなのになぜかこじらせる
※きのーの最終更新です