シウォン side



『どうされたんですか?』


中腰になった俺を見て。え...いや...あの...


『やっぱり...ちょっと...私には...無理かなって...』


はは...曖昧にごまかそうとする、俺の言葉に。くすっと笑う。あ、その笑い方...変わってないな...


『さっきのトレーナーの筋肉見て。びっくりしました?』


確かに。シャツの袖から覗く二の腕は。俺の記憶の二倍はあった


『あれは筋肉を育てるのが、趣味みたいなもので』


若干、呆れたように。特殊な人種だと思ってください。特殊って...毒舌も健在だな...


まぁ。ドンへが気づかなかったんだから。キュヒョンが気づくわけないか...ちょっと寂しいけど


『せっかくいらしたんですから。無料体験でも、受けていかれてはいかがですか?』


む、無料...体験...?


『えぇ。マシンをいくつか使ってもらったり。時間が合えば。ヨガやピラティスなどのクラスにも、ご案内できますし』


お客様のお望みに合わせたプランも、提案させていただきます。で...でも...


『今日は...何も持ってきてないし...』


実際。今日は申し込みだけのつもりだったから。タオルもシューズもウェアも。お貸出しできますよ。仕事帰りとか。手ぶらで気軽に寄りたいって方も、多いので。はぁ...


『経験者でもなければ。準備万端、揃えて来られる方の方が少ないですよ』


こちらもいまキャンペーン中で。無料ですので。はぁ...


『ご用意しますので、あちらでお待ち下さい』


はぁ...何だろう、この。外堀を埋められてく感...



《つづく》


※本日のラインナップ