※とりあえず最終話です


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ドンへ side



俺はただ。きっかけが欲しかったんだと思う。不作為とはいえ。傷つけてしまったウニョク様が。俺の背中を押してくれた


それから程なく。復学を決めた。バイトは辞めるつもりだったけど


《週一でもいいから、続けてくれないか》


新人の指導も任せたいし。ジョンスヒョンに頼まれて。執事として残ることにした。さすがにメイドは。気が進まなかった



久しぶりのキャンパスは。何もかもが新鮮で。せっかくだから、いろんな講義を取った。ウニョク様を...ヒョクチェを。探すことはしなかった。広いキャンパスだけど。縁があれば。どこかで会えると思ったから



『向こうの食堂。メニューも多くて、うまいらしいよ』


同じ講義を取ってるやつに、誘われて。普段は立ち寄らない校舎に行ってみた。学部が違えば。学生の雰囲気も、ちがうもんなんだな...


一番、人気だという定食を注文して。空席を探していると。あ...見覚えのある、栗色の坊ちゃん頭に目が止まった。そのとき。ふわりと。その髪が舞った。俺に気づいて。アーモンドアイが。まんまるに開かれる


『ドンへ!』


う...ヒョクチェ...


『ちゃんと会えたね』


うん...ちょっと...泣きそーだけど...


『僕たち、友だちだよ』


にっこりわらって。俺のトレーから、サラダにのっていたミニトマトをつまんで。ぽいっと口に放りこんで。むしゃむしゃと咀嚼する


うん。そうだな。よーやくだけど...


そして。ここから


はじめよう



《完》


※本日のラインナップ