ドンへ side
あれからウニョク様は。何度か同伴してくれて。いつまでたっても。すぐ照れて。顔をあかくして...やっぱり俺をヨジャだと思いこんでた
その素直さに感心しながらも。あまりに無邪気で、心配にもなった。悪いやつに騙されるんじゃないかって。痛い目にあうんじゃないかって。でも...俺だって...騙してるんだ
あの...トヘちゃん...何でしょう。ウニョク様。ほっぺたがあかいのは。寒いせいばかりじゃないだろう
『こんなこと...ゆっちゃいけないのは、わかってるんだけど...』
僕、トヘちゃんのこと。ほんとに好きになっちゃったんだ...うん。わかってた。ウニョク様の眼差し。それは恋するひとの目。キャストとしてはうれしーけど...でも...でも...
いくらでもごまかすことはできる
でも、俺は。これ以上、ウニョク様に嘘をつきたくなかった
『ウニョク様』
ううん。ヒョクチェ。え...声音を変えるのもやめた。トヘのときは。意識してたかめの声を出していたから。と、と、と、と、トヘちゃん...急に手をつかんだから。びっくりして声がひっくりかえる。そりゃそうだ。中でも外でも。接触は禁止だから
『申し訳ないんですけど...』
俺、オトコなんです。コートで見えないよーにして。その手をスカートの上から押しあてた
え、え、え、え...
『えぇぇぇぇぇぇーーーーー!』
固まってしまったウニョク様を前に。覚悟を決めたはずの数秒前の自分を、はげしく後悔した
《つづく》