シウォン side



《closed》のプレートがかかったドアを開ける。カウベルの音に、振り向くヒチョリヒョン


『おぅ。馬か』


部屋なら空いてるぞ。今日は違いますよ。ヒチョリヒョンに荷物を手渡す。何だよ


『お届け物です』


届け物?開けてみてください。訝しげな表情をしながらも。箱を開ける。中から出てきたのは、一着のスーツ。何の変哲もない。何だこれ...


『こんなつまんねぇスーツ、誰が着るんだよ』


ヒョンですよ。何でだよ。テーブルに。ばさっと、無造作に放りなげる


『俺の、初就職がかかってるんです!』


はぁ?お願いします!はぁ!?なんだそりゃ!意味わかんねぇよ!


意味わかんねぇのは、俺だって同じだ



『明日から。ここで働いてください』


は?椅子に座り直したキュヒョンが。マジで社長?マジでお前の会社?そのかわり。条件があります。机に肘をついて。組んだ指を唇にあてる


『キム・ヒチョルを、連れてきてください』


ヒチョリヒョン?ご存知ですよね。知ってるけど...でも、何で...


『お願いしましたよ』


そう言って。この話しは終わりとばかりに。くるりと椅子を回して。また背中を向けた



『キュヒョン?』


キュヒョンって言ったか?ヒョンの表情が険しくなって。眉と大きな目がつり上がる。そうです。その目を。スーツに落として。これを、キュヒョンが?ゆっくりと手を伸ばして。ぎゅっと握りしめた。そして


『断る』


ひょぉぉぉぉん!あー、うるせー。うるせー。濃い面、近づけんじゃねぇよ。店、開けるから。さっさと出てけ



《つづく》



※きのーの最終更新です