キュヒョン side




一度、言われたこととはいえ。やたらと喉がかわいて。ソジュの瓶に直接、口をつける。ごくごくと


『いつ...いつからですか...』


んー。最初からかな。最初から?うん。ドンへヒョンは。吐き出してすっきりしたのか。案外、落ちついていて。ペリエの蓋を開けながら。最初は...


『かわいーなって思って』


か、かわいぃ...?俺が!?久しく言われなくなった言葉だ...


『となりの部屋でうれしくて...俺、ダメダメヒョンなのに、バカにしないでつきあってくれて...』


バカにはしてないけど...ちょっと呆れてるかな...


『生意気で素直じゃないけど。やさしくて。真面目で。酒飲むと甘えたになって』


えーと...それは褒めてるんでしょうか...ディスってるんでしょうか...


『もっとキュヒョンのことが知りたい。そばにいたい』


そー思った。恥ずかしそうに、ぺろっと舌を出して


『じゃぁ...あの子にちょっかい出したのは...』


はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ。な、何!?突然...盛大にため息をついて。俺、かっこわるいよなぁぁぁぁぁぁぁぁぁ。両手で顔をおおう。そんな...大げさな...


『俺。うぬぼれてたんだ』


顔を上げて。遠くに目をやって。ちょっと声かければさ。気をそらせるんじゃないかって、思ったんだよ。でもだめだった。それだけ本気なんだなって...逆にあせった。視線を落として


『先に告られたら、負けは見えてるからさ』


でも。いきなり俺がそんなことゆったら、ドン引きするだろーし...何かきっかけほしくて...だから酒の力を借りましたごめんなさい。テーブルに頭をぶつけるくらいの勢いで。頭を下げて。くく。なんで棒読みですか...


『だってダサいだろ』


口をとがらせる。子どもみたいに。ダサいっていうか...


『ヒョンらしくて...いいと思います』


完璧すぎたら...俺、近寄れないですもん。キュヒョン...いや...そんなうるんだ目で、見られたら...


『いますぐどーこーなんて、ムリなのはわかってる』


ただ...すこしでも考えてくれるなら、うれしぃ。にっこりと。はぃ...


持ってきたソジュを全部、空にしたのに。全然、酔えなかった



《つづく》


※本日のラインナップ