ドンへ side



『衣装、どうする?』


何かあるか?何かっていわれても...衣装って...制服じゃだめだよな...先輩たちみたく、かっこいーのなんて。持ってないし...


『普段、着てるのでいいんだよ』


俺たちもそうだし。え...ジョンス先輩...あんなひらひらしたの、ふだんから着てるんだ...俺なんて。大体、シャツとジーンズか。スウェットだ


『ジョンウン。お前、買い物つきあってやれよ』


せっかくの晴れ舞台なんだからさ。そうですね


『ずっとスタジオにこもりっきりだっし...息抜きついでに、行くか』


でも...お金もそんなに...


『心配すんな』


こいつは古着屋専門だからさ。ヒチョル先輩が、ジョンウン先輩を指差す


『ヒョン。どうせなら、ヴィンテージって言ってくださいよ』


同じよーなもんだろ。違います。古くさいTシャツばっか着やがって。アニキャラのTシャツ着てるヒョンに、言われたくないです。ジョンウン先輩が。憮然として


はじめて知ったけど、ヒチョル先輩はなかなかのオタクで。バンドに参加して、最初のステージで。アニメのキャラがデザインされたTシャツを着たらしくて。当時いた先輩に注意されて。バンドのイメージがあるからって


《アニキャラじゃなきゃ、いいんですね》


で。次んときは。自分の顔がプリントされたTシャツを着てきたらしぃ...似顔絵とかじゃなくて。写真そのままの。それがいまでは定番になっている。自分の顔って...よっぽど自信があるか。勘違いしてるかの二択だよな...


先輩たちって。ステージはあんなにクールなのに。普段は、意外とおもしろいんだよな。だから、俺も。気兼ねせずにいられるんだけど


『どうせなら、これから行ってみるか』


え...あ...はぃ。わくわくしながらも。財布にお金が入ってるか、ちょっと心配になった



《つづく》


※本日のラインナップ