『ほら、ドンへ。こぼしてる』
ん...口のまわりも!拭け!ティッシュをわたして。ふだんから雑だけど...きょーはいつも以上にちらかしてる。ほんと子どもっぽいんだから...
『くく。まるでオンマだな』
シウォンさんの言葉に。一瞬、ぴたっと食べるのをやめて。さらに乱暴に蟹にむしゃぶりつく。見せつけるよーに。あーあ...服にまで...
『ヒョクチェ、大変だろ』
こんな我儘なの。シウォンさんが、心底あきれたよーに。甘やかすだけがマネージメントじゃないぞ
『うるさい!』
ドンへが蟹の殻を皿に放りだす
『ドンへ!』
汚れたテーブルをふいて。いー加減にしろ。いまにも泣きそーな目をして。くちをへの字にして。シウォンさんも...
『あまりドンへをからかわないでください』
せっかくのうまいもんが...味わえないじゃないですか。あぁ...そうだな。悪かった。こころなしか、つり上がっていた眉毛がさがる
『くわしく話すつもりはないですが...』
ドンへのマネージャーになったのは、いろいろあって...
『先輩や他のマネージャーの方の仕事ぶりは勉強してますし。もちろんリスペクトする部分もあります。でも...これが俺のやり方なんです』
ドンへのマネージャーとして。ひょく...ばか、泣くな...ん...もっていたタオルをドンヘの顔におしつけた
『ドンへ...』
シウォンさんが。しみじみと。お前、いいマネージャー見つけたな。うらやましいよ。え...シウォンさん?
『俺も送ってって』
ドンへが。一緒に駐車場に降りてきたと思ったら
『お前、クルマじゃねーの?』
ちがう。首をふる。タクシーで来た。何でそんなめんどーなこと...くく
『怒ってるわりに、頭は働いてんだな』
乗ってけよ。事務所に戻るだけだから。シウォンさんがさっさと後部座席に乗りこむ。あ、そーゆーことか...見透かされてむっとしたのか。くちびるをとがらせたまま。ドンへが助手席に座った
《つづく》
※本日のラインナップ