俺が買ってあげた服を、ウニョクはよろこんでくれたよーだ。でも...靴を履いても。手をひいても。外に出ようとはしなかった。まるでここでしか、生きられないかのよーに...
それでも俺は。たまに服を買ってかえった。ウニョクにしてあげられることは。それくらいだったから。ウニョクにずっと...ここにいてほしかったから
『今度ね。新しいチームに選ばれんだ』
俺の太ももにあたまをのっけて。自分のお腹にラジオをのっけて。指でリズムをとって。俺を見上げて、かくんと首を傾ける
会社きっての一大プロジェクトだ。うまくいけば、ボーナスも昇進も期待できる
『明日、相手先の企業と会議でね』
そこで全てが決まる。でも...俺には。ウニョクがいるんだ。だから大丈夫...
『ウニョクがいるからね』
やわらかい髪をなでる。ウニョクはいつものよーに。ふわっとわらった
次の日の朝。ウニョクはいなくなっていた
《つづく》
※きのーの最終更新です