それって...自分がアルファだから?ひょっくんを、実験台にするってこと...?


ちーさな身体を引きよせる。それは...


『ひょっくんと...番になるってことですか...』


紳士は、一瞬、黙りこんだ。それを...


『それを決めるのはウニョクです』


どうするかは、ウニョクに任せたいと思っています


『実は、ウニョクを預かったとき。アボジから。この子を守れるなら、番になってもらえませんかと。申し出がありました』


え...私が番になるのは簡単です。でもそれは。お互いの本意ではない


『私が番になるのは、心と身体が通じあってからです』


成人するまで待つとゆーことか...少なくとも。オトナの判断ができるときまで...それで...


『ひょっくんが...あなたを選ばなかったとしても。ですか?』


あなたはそれでも...紳士が一瞬、怯むのを。俺は見逃さなかった。でも。私は


『私は、ウニョクの判断に従います』


きっぱりと。このひとを、ここまで正しくさせるのは何なんだ。これもアルファの強さなのか...


でも...眠りながらも。俺のズボンを握りしめている、ちーさな手に触れる


あのとき。ひょっくんを助けてあげよーと。手を差しのべたときの。あの感触...稲妻がはしるよーな...もしかして、あれは...


ベータでも。アルファやオメガに、突然変異することがあると。聞いたことがある...原因は不明だ。だとしたら...


ねぇ。ひょっくん。キミは俺を探してた?俺たちは...


あぁ。俺の考えを見透かすように


『ウニョクが逃げだした経緯を、まだお話ししていませんでしたね』


まったく...迂闊でした...紳士は、はじめて後悔をにじませた



《つづく》


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