※禁断のファンタジーに手を出す...


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ドンへ side


『おかえりなさい』

会社から帰ってきて。家のドアをあけたら。知らないオトコの子がすわってて。俺に向かってにっこり微笑みかけた...


『すみません!間違えました!』

あわててドアを閉める。オレ、相当つかれてんな...自分ち、間違えるなんて。念のため、部屋番号を確認する。あれ...オレの部屋だ...まさか棟、間違えたとか?あわてて周りを見まわすけど...見慣れた風景だよな...そもそもエントランスも部屋のドアも、自分の暗証番号で開けたんだ。間違えるわけがない...

仕事のしすぎかな...確かに最近、忙しかったけど...テレビがついてたとか?その割に近かったたし...ぱんぱんと両手で顔をたたく。深呼吸をして...よし...ゆっくりと。確かめるよーに暗証番号を押す。てぃるてぃるり。かちゃ...開いた。恐る恐るドアノブを引くと...

『おかえりなさい』

さっきと寸分違わぬ場所で。寸分違わぬ言葉で。寸分違わぬ笑顔で...よく見るとかわいい顔をしてる。いや、そーじゃなくて...こほん。あ...あの...

『ここ...オレんちなんだけど...』

控えめに言ってみたけど、ただにこにこしてるだけで...しゃべったんだから、言葉はわかるんだよな...

『キ、キミ...誰?』

鍵はオートロックだから。かけ忘れなんてことはない。まさか...泥棒!?その子はにこにこしたまま

『妖精です』

は!?聞き間違いか?あの...

『もう一回...言ってくれる?』

『妖精です』

気分を害すわけでもなく。妖精...妖精って...?混乱して、ぱっとイメージがうかばない...妖精...って...名前なわけないよな...

『妖精って...何の...』

何のって聞き方も変だと思うけど...こてんと首を傾げて

『妖精です。ただの...』

ただの...ただの...ただの妖精って...そー言われても...まったく理解ができない。妖精って...あれだよな...一生懸命、記憶を掘りかえす。あの...あれだ...なんとかパンとかゆー童話に出てきた...でも...あれって、もっとちーさいよな。羽根とかはえてて...空、飛んで...

でもそこにいるのは。肌はぬけるよーしろいけど。背格好はたぶんオレとおんなじくらいで。まるっきり人間で。髪も目も色素がうすいから。ハーフっぽいけど。羽根もなさそーだ...そもそも床にすわってるし...

け...警察に通報したほーがいーのかな...でもその途端、暴れたりとか?は、しそーもないけど...凶器を持ってるかんじでもないし...何て説明すればいーんだ?家に、妖精がいるんですって?そんなの...はなから相手にされなさそーだ...

俺の苦悩を知ってか知らずか。妖精くんはひたすらにこにこと笑顔をふりまいて。玄関に立ちつくしたまま。オレは途方に暮れた


《つづ...いてどーする》

※本日のラインナップ