『たまにはどっかいこーよ』
バイトばっかしてるから。いつが休みなのか、よくわかんなくなってて。曜日感覚も
『変装しなくていーのか?』
サングラスとか。何それ。けたけたと笑う
『言ったじゃん。気づかれなかったって』
ヒョクだって気づかなかっただろ。それは...俺、そーゆーの疎いから...
『例えばさ』
きれーな二重の目をきょろりとさせて
『若手の俳優で。思いつくひといる?』
もちろんナムジャ。そ、そんなこと言われても...最近、ドラマも見ないし...あ...
『チェ...シウォンとか?』
この国の出とは思えないほどの濃い顔を。不思議なくらいくるくると変えて。かっこいーのに愛嬌もあって。いつかだったか。ラブコメと言ったらこのひと!みたいな特集をされてて。覚えてた。えー。ほっぺたをぷくっとふくらませて
『よりによってその名前、だすかなー』
不満そーに手足をじたばたさせる。な、何だよ...
『同じ事務所なんだよ』
ふくれたまま。上目づかいで。同い年でさ。あいつも俺と同じ、ただのイケメン枠だと思ってたのに...
『いつのまにか演技派の仲間入りして...主役はって...』
オファーもあいつのほーがおーいし。つまらなそーにくちをとがらせる。あいつと俺と。何がちがうってんだ...んー...ん?
『...身長...?』
あ...ひ、ひどぃ...あからさまに傷ついた顔をする。わりぃ...俺だってひとのこと言えないし。ヨジャにヒール履かれたらとんとんだし。あーあ
『背が高くてあたま良くて坊ちゃん育ちで性格良くて運動も得意で。何であんなやつがいるんだよー』
不公平だ!相当、劣等感あるんだな...ぶーぶーゆーけど...お前も鏡を見てこい...
『でも...』
何となく。努力のひとのよーな気がしていた。もちろん、持って生まれたものもあるんだろーけど。驕ってる感じがしない。そーゆーと...
『そー思われがちなのもムカつくー』
ぷく。どころではなく。ぶくーっと。拗ねるなよ...ヒョクまであいつの味方するなんて...まだぶつぶつゆってるのをなだめながら。ライバルなんだろーな。きっと
それに...お前、まだ...未練があるんじゃないか...
《つづく》
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