淡々と話しつづけたシウォンさんは、冷めたコーヒーを一息に飲みほした

 

まるでドラマみたいだ。でも実際にシウォンさんの、キュヒョンくんの身の上に起こったこと。それなのにキュヒョンくんはあんなに素直に賢く成長してる

シウォンさんをはじめ、関わってるひとたちの愛が深さがうかがえる

 

『なんで...』

 

どーしてそんな大事な話しを俺に...シウォンさんがふっと口角をあがる

 

『どうしてでしょうか...自分でもよくわかりません』

 

同い年で...同じように男手で子どもを育てていて...でもあなたはいつも明るくて優しくて...そんなあなたに縋りたかったのかもしれません...

 

『それに...キュヒョンにご自分の血まで分けてくれました』

 

いつかキュヒョンに話そうと思っています。その身体には、たくさんのひとの愛がつまっているんだと...

 

『俺は...』

 

やさしくなんかありません...よわいだけです

 

よわい...ですか。自分でそう言えるひとはよわくはありませんよ

 

『お時間を取らせてしまってすみません。そろそろ戻らないと...』

 

慣れてるとはいえ、まだ怪我が癒ない身体で、子どもふたりの世話は大変でしょうから。そーだ。彼ひとりに任せてきてしまったんだ

 

シウォンさんがゆっくり立ちあがって、俺にむかってその手を差しだした。

 

『ドンへさん。あなたと知りあえて本当によかったと思っています』

 

ありがとう。こちらこそ。そのおっきな手をぎゅっと握りかえした

 

 

《つづく》