ドンへ side

 

 

『ちゃんとうちに帰るんだぞ』

 

ジョンウンさんが家のちかくまでおくってくれた。焦るなよ。きっと良い方に転ぶから。はぃ。ありがとーございました

 

走りさるジョンウンさんのクルマを見送って...

 

さぁ、どうしょう。すっかり暗くなってしまったけど...このままかえってもいーのかな。こわくてスマホは電源をおとしたままだ。とりあえずコンビニでもいくかな。夕飯はジョンウンさんとたべたから

 

『ドンヘ』

 

え...名前を呼ばれて振りむくと、スーツ姿の父さんが立っていた

 

『良かった』

 

駆けよってきて俺の手をぎゅっとにぎる。すぐにスマホをだして。うん。会えたから。もちろんだよ。いや。お前は家で待っていればいい。あぁ。後でな

 

キュヒョンかな...心配してるだろーな...

 

『飯は?食ったのか?』

 

あ...はぃ。そうか。じゃぁ帰るか。あたりまえのよーにあるきだすけど、うまくうごけなくて...父さんがふりむく。大丈夫だ

 

『大体の話しは聞いた』

 

帰ろう。みんな待ってるから。でも...

 

『母さんは突然のことでちょっと混乱してるんだ』

 

少し時間をくれないか。いずれちゃんと話しをしてくれると思うんだ。はぃ...そういわれてやっと足がうごいた

 

父さんに手をひかれてあるくなんてはじめてかもしれなぃ。父さんは俺たち兄弟三人に平等だったから。ひとりにやることはほかのふたりにも必ずやったし、できなそーなことはやらなかった

 

俺が話せることはそんなにないんだが...

 

『お前が知っていた方がいいだろうと思うことを少し話そう』

 

はぃ...父さんの足どりがおそくなる

 

『お前の実の父親が、母さんの兄だということは知ってるね?』

 

はぃ...それはいつか聞いたことがある。そしてもうこの世にはいないとゆーことも...

 

『お前を産んだお母さんは...母さんの親友だったんだ』

 

え...俺もそう何回も会ったとこはないけどな。きれいな顔立ちのひとだったよ。おだやかで。でも芯が強くて。お前の優しい性格はそのひと譲りじゃないのかな

 

それで...ぱったりと父さんの足が止まる。そのあとにつづいた言葉に耳をうたがった

 

『お前が偶然出会ったっていうヒチョルさんは...その親友の弟さんだ』

 

え...ってことは...俺とヒニムは...そうだ

 

『叔父と甥だ』

 

そんな...そんなことが...

じゃぁ...この文字はやっぱり...ふるえる指で耳のうしろにさわる

 

『確かめたわけじゃないんだが...おそらくそのヒチョルさんのことだろう』

 

なんで...なんでそんなことを...

 

 

《つづく》

 

 

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