『お圭ちゃん!そんな...急に奉公だなんて...』
『東海さん...』
百度参りをしていたいつもの寺に立ち寄ったお圭は、岡っ引の東海に呼び止められた。心優しい東海は、よくお圭と共に父の全快を祈って手を合わせてくれていた
『しかも奉公先は悪名高い催原んとこだっていうじゃねぇか!そんなの...』
への字に結んだくちびるがぷるぷると震える。涙をこぼすまいと必死に耐えている
『越後屋の大旦那様が特別にお手配くださって...』
『いけねぇ!いけねぇ!断じていけねぇ』
自分よりも高い位置にあるお圭の肩をわし掴む
『おとっつぁんと...』
おっかさんの為なんです...東海の真っ直ぐな視線を避けるように顔をそらすお圭
『奉公に上がれば良い薬が手に入るし、滋養のあるものも食べさせてあげられる。病が良くなれば、前のように働くこともできる』
毎日笑って暮らせるんです...その目に涙を浮かべて笑って見せるお圭に、言葉を失う東海
『東海さん。今まで本当にありがとう...』
『お圭ちゃん!』
振り切るように駆け出したお圭。ひとり取り残された東海は、届かなかったその手を胸に抱いてぎゅっと握り締めた
一時の後。荒野の町のど真ん中にかかる橋の欄干に、この世の終わりとばかりにしなだれかかる東海
その背中に近づく同心の銀之丞
『なぁ、どんぺ。俺たちのお役目はなんだ』
あ、兄貴。ぐいっと涙を拭って
『へっ!荒野の町のひとの暮らしを守ることでやす』
そうだ。十手で荒野の町をぐるっと指し示す。どれだけ悪が蔓延ろうとも、この十手が黙っちゃいねぇ。奉行の金山様も策を講じておいでだ
『懸命に勤めていれば報われる日がくらぁな』
御天道様はちゃぁんと見てらっしゃるぜ。そう言って縮こまった東海のなで肩を十手でぽんっと叩いた
《⑧につづく》
※何かいてんだかよくわかんなくなってきた...(笑)
※ライトノベルの域を逸脱してる気もしますが...(⌒-⌒; ) ありがとーございます!
※本日のラインナップ