希美 side
洙利の店に、クリスマスの装飾をはずす手伝いにきた。業者にたのめばはやいけど、そんなにハデにかざってたわけじゃないし、ふたりでささっとやればすぐおわるんじゃねーかって
圭美が始雄つれてディナーの予約いれてて。片づけするなら手伝うよ。なんてゆってくれたけど。クリスマスなんだから存分にいちゃいちゃしろって断った。な、始雄
厨房の片づけはスタッフに任せて。店内をいろどっていたクリスマスのモチーフをひとつずつはずしていく
入り口においてたちーさなツリーは、オーナーの畑に植えるんだって
あしたのオープン時間変更のおしらせはって。片づけおわったスタッフかえらせて。メインの仕込みするってゆーからあとは俺がやって
ワインで乾杯して。ひとつだけ消さなかったキャンドルの前で
『そうだ』
洙利がポケットをさぐる
これ。あ…
《希美くんのは私がつくる》
手、だして。ん…洙利のほそい指が俺の手をとる。洙利のよりちょっと太めで。うん。サイズもぴったりだ。ありがとう
リングに刻まれた洙利らしぃやわらかなその線をたどる。その波にも唐草模様にもみえるその線は…あ…
『これ…もしかして…』
ふふ。わかる?
『ふたりの名前をいれてみたの』
ずうずうしいよね。いや…きれーだよ。ありがとな
その手で洙利の左手に触れて。リングを重ねて。触れるだけのキスをした
明日、オープンおそいんだよな…うん
のこったオードブルとケーキ、ワインを俺がもって。あいてる手で洙利の手をにぎって
かえろ。うん…
《Happy X'mas》