※遡ります。高校三年の秋です
 
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ドンへ side
 
 
秋夕はうちにいらっしゃい
 
前々からおかーさんがゆってくれてて。手ぶらじゃなんだから梨と桃を買っていって
 
よぉ。出迎えてくれたのはヒョクチェで。俺がもってた果物をうけとりながら
 
『きのーから大騒ぎなんだよ。買い出しにもつきあわされてさ』
 
名節ってそーゆーもんなんじゃないの?よくしらないけど
 
キッチンにいくと所せましとならべられた伝統料理のお皿
 
ドンへから。ヒョクチェがその脇に果物をおく。あら、気をつかうことないのに。でもありがとね
 
おかーさんはもうもうと湯気のたつ器と格闘中で。なんだろ…俺の視線に気づいたのか
 
『あ、これ?ソンピョン作ろうと思って』
 
ソンピョン?お餅?
 
『いつもは買ってすますのにさ。ドンへがくるからってはりきっちゃって…』
 
ヒョクチェがためいきをつく
 
何言ってんの。たいして手伝ってもないくせに…
 
買い出し手伝っただろ。ヒョクチェがエホバクのジョンをひとつつまんでくちに放りこむ。ついでに俺のくちにも
 
あ…もぐもぐしながら
 
『俺…なんかやりまふ…』
 
いーんだよ、お前はお客さんなんだから
 
でも…
 
『じゃぁ一緒にソンピョンつくってくれる?』
 
は、ふぁぃ。あわててジョンをのみこむ
 
仲間はずれじゃつまんねー。結局ヒョクチェもやることになって。どっちのも不格好なのにお互いのをけなしあって
 
色とりどりのソンピョンを蒸してるあいだにキンパブ巻くのも手伝って。うまく巻けなくて盛大にはみでたすみっこを切って、お互いのくちにはこんで。ヒョクチェが見た目はアレだけどうまぃよってあたまなでてくれて
 
ヒョクチェの部屋の部屋から満月ながめて。できたてのソンピョンたべて。キスをして…
 
こんな日が一日でもながくつづけばいい
 
こころからそーねがった
 
 
《밝은 보름달처럼 행복한 추석 보내세요》