そ、それは兄弟だから…だろ…ずっと一緒にいたし…
俺だってドンへのことは…きらいなわけじゃない…きらいになれるわけがない…
 
そーゆーんじゃない!
 
ドンへがはげしく首をふる
 
俺はずっと…ヒョンがすきだった…生まれたときから…ううん…きっと生まれる前から…母さんのおなかん中にいたときから
 
生まれる前って…
 
ドンへが何をゆってるかまったく理解できない。こいつウェブトゥーンかなんかの読みすぎなんじゃないか…
 
そんときが一番しあわせだった…ヒョンにまもられて…手をにぎってくれて…あったかくて…ヒョンにつつまれて…うれしくて…
 
ドンへがあどけなくほほえむ。ちっちゃぃときみたいに
 
俺は母さんのおなかん中にずっといたかった。ヒョンと一緒に…
 
それなのに…
 
ドンへが俺をにらみつける。つかんだ手にちからをこめて
 
それなのにヒョンが俺をおしたんだ!みんなが待ってるからって…あいたがってるからって!俺がヒョンになるからって!俺が守るからって!
 
そーゆってヒョンが俺をおしたんだ!
だからヒョンには俺を守る責任がある!
 
ドンへがちからまかせに俺をゆさぶる
 
それなのに俺から逃げよーとしやがって…おいてこーとしやがって…
 
くやしそーにくちびるをかむ
 
最後まで責任とれよっ!この世界に俺をよんだヒョンが!
 
俺をこの世におくりだしたのは母さんでも病院の先生でもない!ヒョンだ!
 
いつもおだやかなドンへはどこにいったんだ…はげしく感情を爆発させるドンへを前に、俺はなすすべもなく…ただ俺をにらみつけるきれーな目を呆然と見つめるしかなかった。ぜぃぜぃとくるしそーな肩で息をする。だれだ…こいつ…だれなんだ…
ドンへの手から徐々に力が抜けて、俺はそのまま床にへたりこんだ
 
なんだこれは…なにが起きてる?
 
ドンへはしばらく立ちつくしていたけど、俺をおいて部屋をでていった
 
なんなんだ、あいつ…
話しが突飛すぎてついていけない
あたまががんがんする。なにもかんがえられなぃ。心臓がいたぃ
 
俺はドンへがおかしくなったと思った。そーとしか思えなかった
 
こんなやつしらない。こんなの俺のしってるドンへじゃない。俺の弟じゃない
オーストラリアでもどこへでも勝手にいっちまえ
俺の前からさっさと消えてくれればいい
 
そう思った
 
 
《(11)につづく》