地獄は存在しますかシリーズ(1)陰府に関する一般的な通念とそのヘブライ語Sheolの意味 | ヨハネのブログ

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 多くのキリスト教の教会員は、地獄の存在を信じています。それは、多くの場合、聖書の原語からの間違った訳語に原因があります。
 

 今回は、新共同訳聖書で多くの場合、陰府と訳されている日本語にどのような意味があるか。また、その訳語の原語であるヘブライ語シェオルSheolという語がどういう意味が、ヘブライ語聖書の用語索引から説明したいと思います。
 

(1)日本語の陰府の意味
 

 新共同訳では、陰府は旧約聖書に68回、新約聖書に10回登場します。回復訳の新約聖書では、新共同訳で陰府と訳されている語は、ハデスと音訳されていて、10 回出ています。

 

 陰府とは、一般的にどのような所だと考えられているのでしょうか。ネットのコトバンクを調べてみます。ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説によると、陰府は「旧約聖書の用語で,死者の行くところ,国をさす。・・・暗黒と静止の場所であり,死者はそこで影のような存在になると考えられていたが,を受けるところという観念はなかった。」とあります。

 

 さらに、「旧約時代後期や新約時代になって次第に罰の観念が強くなり,いわゆる地獄同義に用いられるようになった」と説明されています。英語では、Sheolhellと同義だと考えられています。

 

 ですから、陰府とは、当初は火の燃える地獄という概念を含まない単に死者が存在する場所という意味があったとされています。しかしながら、新約時代になって、やはり、罰を受ける地獄と同義に用いられています。hellとは、英語で火の燃える地獄という概念がありますから、やはり、陰府とは地獄と同義に用いられる場合があります。


 

 しかしながら、調べてみると、陰府と訳されている聖書の原語に、火の燃える地獄という概念はありません。

 


(2)日本語の聖書で「陰府」と訳されている元のヘブライ語はSheol

 

 新共同訳の創世記3735節では、ヤコブは息子のヨセフが死んだと考えた時に、「ああ、わたしもあの子のところへ、嘆きながら陰府へ下って行こう。」と言いました。この「陰府」と訳されているヘブライ語の原語をBibleHubで調べてみます。BibleHubには、2019422日の時点で27の英語聖書の引用があります。



 この新共同訳で「陰府」と訳されている語を、Sheolと音訳している英語聖書が12grave()と訳している英語聖書が10、その他、the world of the dead, the next world, Hades, hellと各々1回ずつ訳語が当てられています。単に、 until I dieと訳している聖書がひとつあります。


 

(3)回復訳はSheolと訳している

 
 回復訳の旧約聖書の英語版には、同じ個所が、”
Surely I will go down to Sheol to my son, mourning. “となっています。ですから、回復訳の英語版では、新共同訳で陰府と訳されている語は、ヘブライ語のシェオルを英語のSheolにそのまま音訳しています。



(4)ストロングの聖書用語辞書のSheolの意味
 

 多くの辞書で、シェオルと訳されているヘブライ語の原語は、שְׁאֹ֑לָה 
です。発音は、 (šə・’ō・lāh) です。ストロングの聖書用語索引では、Strong's Hebrew 7585で、Underworld (place to which people descend at death) となっています。


 

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ストロングの聖書用語辞書は聖書中のヘブライ語とギリシャ語の聖書用語の辞書的な意味を確認する助けになる


 

 

 ストロングの聖書用語辞典では、基本的にシェオルとは、人が死の際に下る場所、下の世界という意味があるとされています。
 

 それで、シェオルの意味には、ストロングの聖書用語辞典によると人が死の際に、責め苦を受ける地獄という概念は含まれていませんでした。
 


(5)ヤコブは地獄に行きたいと願っただろうか
 

 創世記の記述は、「『ああ、わたしもあの子のところへ、嘆きながら陰府へ下って行こう。父はこう言って、ヨセフのために泣いた。」となっています。(創世記37:35新共同訳)ここで、ヤコブは、ヨセフが地獄の中で苦しんでいることを気遣っているわけではありません。また、ヤコブは、息子のところに、行きたいと言いましたが、もちろん、ヤコブが火の燃える地獄に行きたいと考えたわけではありません。


 

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ヤコブは息子が死んだと考えたとき・・・

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地獄に行きたいと望んだのでしょうか

 



 ですから、単にヤコブは、ヨセフの様に死にたいという気持ちを表していたと考えるのが妥当です。ですから、ストロングのsheolの定義のように「陰府」と訳されているシェオルには、単に死者の世界、または墓という意味があると考えるのが妥当です。

 

 

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ヤコブは単に死にたいという望みを言い表していたに過ぎないシェオルに地獄という概念はない



 ですから、単にシェオルに下るということを単に死ぬという意味に翻訳している英語翻訳もあります。ですから、新共同訳で陰府という語が当てられているヘブライ語シェオルには、火の燃える地獄という概念は含まれてはいませんでした。

 


 陰府という言葉には、単に死者の行くところという意味もありますが、罰を与える地獄という意味もあると考えられています。ですから、ヘブライ語Sheolの訳語として、火の燃える地獄という意味もある陰府という語を当てたのは誤訳と言えるかもしれません。もしくは陰府という言葉を用いるならば、聖書の言葉の意味について間違った理解を生む原因となったかもしれません。
 


 ですから、ヘブライ語シェオルを陰府と訳すのではなく、単に死者の世界、あるいは、墓、あるいは単にシェオルと音訳するのがより勝っていたでしょう。
 


 しかしながら、多くの人は、シェオルという語に、地獄という概念は含まれてはいませんが、新約時代になってそのような意味が付されるようになったと考えています。そのことは、また別の記事で検討します。


 

「回復訳」は、JGW日本福音書房より発行されています。(この記載は著作権の関係でバイブルフォージャパンからの求めに応じて記載しています)