緩和ケア入院後の初めての検査結果 | 大腸ガンで逝ってしまった双子の妹の451日の闘病記録

大腸ガンで逝ってしまった双子の妹の451日の闘病記録

2022年8月に54歳の若さで大腸(横行結腸)ガンにより逝ってしまった双子(二卵性双生児)の妹の闘病生活を兄目線で想い出しながら記録として残します。

2022年6月20日(月)15:00~ 【G研有明病院 緩和ケア病棟】

 

この日は緩和ケア病棟に入院してから初めて検査を行った結果を聞く日であった。

 

※自分が診察に付き添った時は必ずスマホで先生の説明を録音していたので、そのデータから文字起こしした診察室でのおおまかな会話内容です。

 

I先生:「まず本日行った血液検査のデータなんですが、白血球の数値が正常だと8,000くらいなんですが22,000まで上昇しています。

 

この原因としてはガンの腫瘍自身が炎症を呼び起こすので、白血球はバイ菌やウィルスと戦う時に増加しますので、その影響だと考えられます。

 

次にヘモグロビンの値が正常だと12~15とかあるんですが、これが8まで低下していますので貧血の状態にあります。

 

これは今まで血清腹水が出ていたので、その影響が一つ、これ以外に炎症が体全体にあると赤血球自体が作りにくくなってしまうので、その影響もあるかと思います。

 

次にアルブミンの値が正常だと4以上無いといけないんですが、これが1.8しかありません。この値まで来てしまうと点滴をしても血管の中に水分を留めておけないだとか、利尿剤もほとんど効かない状態になってしまいます。

 

これらの事を総合的に考えると、腫瘍の急激な増加によってお身体の消耗が激しくなってきている状態だと思われます。

 

また、腹水が溜まってお腹が張って来ている可能性があるため先ほど腹部エコーを当てたんですが、実際は思ったほど腹水が溜まってはいなかったです。

 

逆にお腹の中に腹膜播種や子宮の腫瘍が増大してしまっていて、お腹の壁と内臓の間隔がもう1cm程度しか空いていない状態となってしまっているので、この状態で腹水を抜くために針を刺したとしても、直ぐに内臓に当たってしまうので非常に針を刺す事自体がリスキーだと思います。

 

つまり、これまでは腹水が溜まることによってお腹が張って来ていたのですが、いまはガン細胞による腫瘍が大きくなって来ていてその影響でお腹が張って来ている状態であり、腹水が溜まるスペースが少なくなってきています。

 

今後起こりえる症状で一番怖いのが、転移した卵巣の腫瘍が以前と比べて10倍近く大きくなってきてしまっているので、その急激な肥大に耐えかねて一部崩壊してしまったり、捻じれが生じてそこからの大量出血が発生することです。

 

もう一つはガンの腫瘍による内臓機能の低下によってお体の中のバランスが崩れてしまう、いわゆる『多臓器不全』という状態になる可能性が高いです。

 

ですので、体調で言うと今日が一番良い状態だと思ってください。これからはお腹の中の状態がどんどん悪くなってきます。

 

その時に麻薬などで痛みや張りを取ることは出来ますが、副作用として眠気が強くなったりだとか、意思の疎通が出来なくなってしまうといったことが考えられます。

 

これからは、なだらかに悪くなるというよりかはガクンと階段状に急激に悪くなることが多いですので、やりたい事があったらできるだけ早くやって方が良いです。

 

前回残された時間がどのくらいあるのかお聞きになりたいとの事でしたので今日時点でのお話をさせていただくと、ご本人の体力や気力によっても大分変わってきますが急変を除くと1か月前後が一つの目安となってくると思います。

 

ですので、これからは『最善を期待しつつ最悪の状態に備える』という事でできるだけ良い時間を過ごせるようにしていきましょう。」

 

妹:「分かりました。よろしくお願いいたします。」

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妹は緩和ケアに入院する直前にK病院でCARTにより腹水を抜いていたが、4.5リットルと以前に比べて抜く量が減っていた。

 

緩和ケアに入ってからもお腹の張りはあったものの、以前のように『お水が溜まって苦しいというよりかは、ろっ骨を圧迫して痛い』という風に実は症状が変化していた。

 

その原因が今回の検査で判明し、先生がお腹を触診するとボコボコとした感触が分かるほどに腫瘍が大きなってしまって来ていたので、ロキソニンの服用で何とか痛みを和らげている状態であった。


天に召されるまで残り60日