不思議な魅力の「冊架図(チェッカド)」
先日、図書館で何気なく手にした一冊の本『韓国の美術・日本の美術』ページをパラパラとめくると、口絵のカラー図版に目が釘付けにヒョンビンさん主演の映画『王の涙 -イ・サンの決断-』で見覚えのある絵朝鮮王朝の王座の背後に置かれる屏風は、通常は豪華な「日月五峰図(イルウォルオボンド)」が一般的。ところが、第22代正祖(チョンジョ)王さまの背後には、積み上げられた本や文房具、花瓶などの日用品も描かれたとっても不思議な絵でした。よく見ると、西洋画法の一点透視図法で描写された立体的な積読(つんどく)妙に親近感を感じて惹きつけられました。その後、2014年にソウルの北村韓屋村にある「嘉会(カフェ)博物館」を訪れた際、その絵が『冊架図(チェッカド)』と呼ばれることを知りました。ハングル表記:책가도(チェッカド)漢字表記:冊架圖なるほど〜🧐書棚(書架)にある本(冊)を描いた図ってことですね。あそれで、本のことを『책チェック(冊)』って言うのかこの時、ガッテンがいきました。そして、本は広い意味で文房具に含まれるから、別名「文房図(ムンバンド)」とも呼ぶそうです。学者肌だった正祖王様が、宮廷画に「冊架図」を公式に採用したことで、当時の朝鮮社会には読書と静物画のブームが巻き起こったみたいです。正祖王は「本を読めない時でも、この絵を眺めるだけで心が安らぐ」という言葉を残されています。学問を重んじる「崇文主義」を象徴する、王様らしい素敵なエピソードですね。映画に登場した冊架図のモデル(現存する中で最も格調高く、作者が明確なもの)は、張漢鐘(チャン・ハンジョン)の作品で、現在は京畿道の国立博物館に所蔵されているそうです。冊架図はやがて特権階級だけでなく、庶民の間にも自由に広まっていきました。あえて逆遠近法で「本がこっち見てる」っていうシュールな構図だったり、常識を覆す独自の世界観は、まさに現代アートだ〜さて、私が図書館で見つけた「作者不詳」の冊架図は、なんと所蔵先が「岡山・倉敷民藝館」ちょうど倉敷へ行く直前だったので、偶然の巡り合わせにびっくりでした。🫢時を超え、国を超えてつながっていく。不思議な縁を感じた一冊でした(←ちと大袈裟か)参考文献:鄭于澤、並木誠士 編『韓国の美術・日本の美術』P148-149, 昭和堂, 2002年.