金子みすゞ
JULA出版局

なんきんだまは七色だ。一つ一つが愛らしい。・・・・・
この子の言葉もそのやうに、一つ一つが愛らしい。・・・
(『南京玉』の冒頭文から)

『南京玉』は金子みすゞさんの3歳になる娘のふさえさんの言葉を拾い集めたものです。
岡崎みすゞ会の皆さんが案内して下さり、ふさえさんが店を訪れて下さったのは二十数年前でした。とても有難い出会いだったのですが、私の目には、ふさえさんは深い悲しみに包まれた人という印象でした。それから、毎年開催された矢崎節夫さん(金子みすゞの詩を現代に甦らせました)のお話には、必ずお見えになりました。ふさえさんにお会いする度に、明るい印象になられてゆくことが不思議な感じでした。
その大きな原因は『南京玉』でした。ふさえさんは長い間、お母さんから捨てられたのだと受け取ってみえました。(ふさえさん3歳4ヵ月の時みすゞさん死去)でも『南京玉』の幼い自分の言葉を詠むうちに、みすゞさんが自分に歌を唄ってくれたり、絵本を読み聞かせしてくれる姿を知り、溢れるばかりの愛情が注がれていたことに気付いたのです。
ふさえさんは亡くなられましたが、
私の中でも南京玉のように、ふさえさんの思い出がきらきらしています。