これは自分の中だけで思ってる前世だけど、物語としてもフツーに面白いのではってことで、書いてみる。ちなみに小説家じゃないので、語彙力はない。


私は妖狐の母から生まれた。山で産み落とされ、で、なぜだかそこにそのまま放置された。理由はわからない。がっかりされたのかもしれない。

たぶん半分死んでるというか、弱ってる、というか、そのまま石になるのを待っていた。

そこに、人間の男が通って私を抱えた。初めて温かみを感じた。温度がある、匂いがある、でこぼこの感触が、人間の手というものだと知った。以来、人の手というのは特別に思う。

「おまえに、私は何と見えるか」と問うた。

男は驚いて「狐の子が死にかけていると思ったが、言葉を話すとは」と言った。「助けてやるから化かすなよ」と笑った。

化かす力があるのか私には…と思ったが、助けてやると言うのが嬉しく心から安心していた。


リョウというその男は村で薬を煎じたり、子供たちに文字を教えたり、畑を耕していたが畑仕事は下手だった。

私を連れ帰った家に、リョウの妻がいた。

私を見ても何ともせず、夫の帰りにも関心が無い。

「トヨには、おまえが石に見えるようだ。俺には狐に見えるが、もしかしておまえは石なのか?俺は石と話してるのか?」とリョウは笑った


その時何を食わせてもらったのかわからないが、生き延びた。


元気になると、誰がみても石ではなくなった。

トヨも可愛がってくれた。

トヨとリョウは夫婦であったが、子供はおらず、また持つ様子もなかった。トヨは未亡人だったのを、リョウが引き受けたのだ。

私といえば、リョウの出かけるところはどこでも着いていった。薬草探しが一番楽しかった。人が居ないため話ができるからだ。


「トヨはもうすぐ居なくなるぞ」と私が言うと、リョウはしばし手を止めて黙り込んだあとに

「どうしてわかる」と言った。

「私にはわかる。トヨの気が薄い」

「死ぬということか」

「そうかもしれない」

「守ってやってくれないか」

私は精一杯のことはしようと、頷いた。