まいにちは
ちいさな、chocolatecube
みたい。
甘い、あまい。
日暮れが近くなると
風が強くなって
ばさばさ、ばさ、と
揺れるものが、ゆれ。
動かないものは
より、足を踏ん張るように
かたむく日ざしを、吸いとっている。
葉桜濃き、五月の初めは
とても、異界が近い。
ぼんやりして、月の出も、ワスレル。
夏の入りは、大きなカーブ。
曲がり切るには、注意が、ヒツヨウ。
夢を、見た。
ひどいやけどをした少女の
それからの日々を
ガーゼの交換をする
中年のおんな の視点で書いた小説が
どこにも応募していないのに
なぜか、大きな文学賞を取り
まだ、結婚をせず
古い社宅で
両親と暮らしていた
わたしは
日暮れ、エレベーターの無い
社宅の階段を
とぽとぽと昇りながら
これで、家から出ていける、と
漠然と、かんがえていた。
夕焼けが赤くて
玄関の新聞受けに刺さっていた
夕刊には
受賞!
⚪️⚪️⚪️子さん
と、文学賞のニュースが載っていたが
あろうことか
わたしの名前が
一文字、間違っていた。
なので、両親は
わたしが賞を取ったことに気づかず
焼き魚と味噌汁の夕食を
ビールを酌み交わしつつ
テレビに顔を向けて
静かに、食べていた。
翌朝、起きて
会社に行くため、駅へ向かうと
社宅に住んでいるひとたちが
次々と、
受賞、おめでとう、と
声をかけてきて
一文字違いのなまえで
報道されたのにもかかわらず
なぜ、このひとたちは
わたしをわたし、だと
分かったのだろう、と
大きな運河の横の道を
橋を向こうに見ながら
ただ、まっすぐ歩く
そんな、夢だった。
ゴールデンウイークの間
オットー氏は
風呂やトイレをぴかぴかにし
玄関に棚を作り
ジブンで、ワイシャツを洗い
洗濯物をたたみ、
ふつかほどは
夕食を、用意していた。
わたしは、ひたすら
モノを書いたり、構成したりしていた。
長かった子育て。
終わっても、ちっとも寂しくない。
むしろ、せいせい、している。
子どもを愛しているけれど
それは、ジブンが生んだから。
本能に近い。
わたしは、家族、という形態は
好きじゃないから
いまの、
共棲み
している感じが、
とても、好ましい。
わたしは、
娘の結婚も
孫ができるという未来
にも、興味がなく
できたら
わたしをスルーして
そういうことが
起こるなら
起こってほしい、と感じている。
中学生のころは
結婚はしたくない、
しないと赦されないなら
ゲイの男性と
虐待されてきて
親を見限ったコドモと
家族という形態を逆手にとって
世間から隠れて暮らしたい
と、思っていた。
それは、きっと
わたしというニンゲンの真実だから
いま、スルーされたい
と、あいも変わらず
そう感じているジブンを
いまは、
愛おしく
思う。
育った家から、離れ、
異界を作りたかった。
わたしの結婚した理由は
たぶん、それ。
なんとも、エゴが、強い。
娘を生んだのは
異界の友が欲しかった。
ほら、
救いがたく、エゴが、強い、のだ。
日の当たる
しゃきしゃきした、
前に向かって、ぱきぱき進む
良きこと、良き場所をchoiceし
そこに、いま、いる!ことを
確認しつつ
もっと、前へ
もっと、ひかりのほうへ
と、
宇宙的真実を探り
希求する
溌剌とした、大いなる声よ。
あなたよ、
わたしは、くらい場所に
棲むもの、だと、告白しましょう。
魂の
棲む場所は
さまざまに、あり、
くらい場所に棲むもの は
時として
矯正や治療を
自らも、
ひかりの場所に棲むものからも
望まれる、が
くらい場所に棲むものの
解放は、
ひかりの場所へ移動することではない
と、思うのです。
くらい場所にも
さまざまな場所があり、
黄昏や
夜明けや
夏の木のしたや
とろりとした水の深さや
井戸のなかの冷たさや
そのような翳りを
くらい場所を
いま、ふたたび、選び
じゆうに、のびのびと
しかし、ふわりと浮くことなく
今生を生きる。
からだとこころの境界にある、魂。
地下世界や
深い林のおくで
苔の、ベルベットと
腐葉土の湿り気と
微生物やきのこたちの
静かなる、匂いと。
さまざまな場所が
世界には、赦されている。
そう、思いたい。
ひかりに浮遊することに
いたみを感じる
わたし、よ。
魂の、故郷。
今朝も、分岐点。
ひたすらに、きょうも。
昨夜、
カレーをたっぷり煮たから
集中できる。
りんごを齧ったり、しながら
くらくて、静かな場所の
素直な翳りを
文字で。