わたしは老いた猫だ。
だが今日、
いちにちだけの約束で
アパートの隣の部屋に住む
中年女と入れ替わり
坊ちゃんに会いに来た。
町中で
チラシを見て
遠い記憶が蘇り
いてもたっても
いられなくなったのだ。
あの坊ちゃんが
本当に
ROCKの演奏家に
なっていたなんて。
聞けば、偶然にも
電車で1時間ほどの
ショッピングモールで
坊ちゃんがライブをやると言う。
(中年女が教えてくれた。
この女、変わっていて
時折、猫語を解すのだ)
わたしは人間に身をやつし
出かけることにした。
(一度猫になってみたかった
と、中年女は言った)
坊ちゃんは、
わたしのことなど
覚えているまい。
何しろ、昔に一度
会ったきりなのだ。
しかし、わたしは
鮮明に覚えていた。
それはわたしが
初めて、仔を産んだ
その日だったからだ。
あの夜、坊ちゃんは
月から飛んできたように
わたしが寝ぐらにしている
神社の境内に降りてきた。
光る魚のような姿で、
銀色の円盤に乗って
流線型の楽器を抱え
『ROCKの使者だ』と。
そして、
その不思議な音色を
産まれたばかりの仔と
産んだばかりのわたしに
聞かせてくれた。
誕生とはROCKそのものだ、と。
big bang、なのだ、と。
『坊ちゃん、なまえは?』
『まだ、ついていない。
ボランか、ボウイか
ペイジか、或いはローリーか』
わたしたちは、
境内の階段で
小一時間、話した。
他愛もないハナシだったが
楽しかった。
あれから、わたしは
52匹の仔を産み.
そろそろ天に召されるほど
老いた
というタイミングで
今日が来た。
坊ちゃんが演奏するという
ショッピングモールは
お盆最後の人混みで
海水浴場のように
混んでいて
その中で
坊ちゃんは、奇妙なほど
坊ちゃんだった。
あの夜とおなじ
銀色の魚のような輝きで
流線型の楽器を
背を反らして、かき鳴らし
汗で、長い髪を額に張り付かせ
朗々と、歌っていた。
わたしは
坊ちゃんを見、
今夜、死が
わたしを迎えに来ると
喜びをもって、悟った。
坊ちゃんのステージを2度見て
わたしは帰った。
猫には
あるまじき幸福だった。
ROLLYの
イオンモール日の出での
ミニライブを観てきました。
サインをもらって
握手してもらいました。
♪手がすごく大きかった。
さすが、ギタリスト。
サインを渡す時
きちんと向きを変えて
はいっ、と
賞状みたいに渡してくれた。
2度のライブは
それぞれ内容が違って
ROLLYの優しさを感じました。
(2度観るひとが多かった!)
アルバムの曲の他に
秘密のアッコちゃんを
歌ったり
T.REXの
20th century boyを
演ってくれたり、
最後の最後は
あんぜんバンドの
【月まで飛んで】
(アンコールみたいに
その後、恋のマジックポーション)
★猫のハナシを思いついたのは
切ない、月まで飛んで、の
ローリーの歌声と
ロマンティックな
ギターの音色の
せいかもしれません。
それと、
賑わうショッピングモールでの
ライブは、音楽家のローリーには
しんどいかも、とも と感じたのも
(特に二度目)
理由かも。
良い音ではありましたが
途中、館内アナウンスが流れたりで
もっと繊細に聴きたいなあ、と
無理は承知で
sio猫は思ったりしました。
しかし、このライブが
無料だ、なんて!
それほどの楽曲の多さ、
クオリティでありましたよ。
お客さんは、
男性が割りと多くて。
ROCKやギターが
すごく好きそうな
年期の入った
おじさまがちらほら。
ローリーと野郎ども
みたいな
男性限定ライブやってもいいかも。
わたし、おんなだから
入れないけど、
すごく良いライブになる気がする。
なあんて、
しっとり書きましたが
サイン&握手後のsioは
(コミケ会場にいる
娘に、LINEしちゃったもん!)
わたし、こういうので
握手してもらったの
LIFE初めて。
初めてで最後が
ROLLYだ!
そんな気がするよ。
猫になってみたい
sioでした。