自身の勉強も兼ねて、扱った症例を残しています。
個人情報は個人を特定できないように、一部変更しています。

70代女性、数年前から右膝が痛むとのことです。

普段から痛みがあり、長時間歩くと痛みが増強するとのことでした。

以前は水が溜まって整形で抜いてもらっていましたが、最近は水が溜まらなくなったので痛み止めだけをもらっているとのことです。

 

膝を見ると確かに水は溜まっていませんでしたが、両下肢全体がむくんでいるようでした。

指で押しても跡がつかないこと、マブタのムクミがないことから病的なものではなさそうです。

少しO脚気味、わずかな変形があるようです。

膝に熱感はなく、膝の内側で脛骨の上にある縫工筋などの部分、ツボで言うと「陰谷」あたりに緊張があり、圧をかけると痛みが出ていました。

膝の皿である「膝蓋骨」はスムーズに動くので、膝自体はそれほど痛んでいないようでした。

多分「変形性膝関節症」の症状だと思いました。

 

東洋医学的に見ると、瘀血と水毒があるようでした。

鍼を足甲の「内庭」や「三陰交」付近のツボにあてると、筋肉の緊張が取れてくるのが感じられました。

膝の様子を尋ねると

「特に変わってないような気がしますが、何かされたのですか?」

と言われたので、試しに立って歩いてもらいました。

「痛みがなくなっています。」

と喜んでおられました。

 

漢方薬は、血と水の停滞がありそうなので、血と水を流す「桂枝茯苓丸加薏苡仁」か胃腸の調子を整えて余分な水を散らす「防己黄耆湯」あたりが合いそうでした。
他に膝の内側を緩める「内庭(ないてい)」のツボを押したりお灸をすると治療の助けになりそうでした。

運動は、座った状態で枕などを両足に挟んで力を入れる、あるいは同じ姿勢で足を閉じようと力を入れながらこれに抵抗をかける運動を5秒間、3セットほど行うと良いでしょう。

ただ少し深い部分に病があるので、状態が安定するのには少し時間がかかるかもしれません。


鍼灸がお役に立ててよかったです。